2001 年 45 巻 3 号 p. 209-215
ダイジョ (D.alata) の2品種を用いて, 節部切片培養に有効な糖の種類と濃度を検討した.MS培地にショ糖およびブドウ糖をそれぞれ2, 3, 4, 6, 8%の5段階の濃度で加えた培地を用いた.
その結果, 節部切片からの植物体再生率には, 糖の種類や濃度による効果の差異は認められなかった.しかし, 地上部と根部の乾物重の増加に関しては, ブドウ糖よりもショ糖の方が効果的であり, 再生植物の成育に明らかな差が認められた.アフリカ在来では, ショ糖とブドウ糖とも6%以上の高濃度域で乾物重の増加が大きく, 8%の濃度で最大となった.一方, 沖縄Aでは, ショ糖の場合はアフリカ在来と同様な傾向を示したが, ブドウ糖では濃度が高まっても, 顕著な乾物重の増加はみられなかった.その他の形質についても, 糖濃度の増加に伴い成育が促進される傾向が認められた.以上のことから, ダイジョの節部切片培養ではブドウ糖よりもショ糖の方が効果的であり, 高い濃度域で顕著な成育促進効果のあることがわかった.