抄録
北部タイにおけるリュウガン栽培上の問題点を明らかにするため, チェンマイ県のSarapeeとBan Aieにおいて, リュウガン生産者を対象に聞き取り調査を行った.両地域における12月の平均気温は, Ban Aieの方がSarapeeより低かった.両地域とも, 鱗翅目や双翅目などの昆虫やダニによる被害を栽培上問題とした園が最も多かった.しかし, 被害程度と殺虫剤に関する回答から判断して, Sarapeeでは年に2回, Ban Aieでは年に5回程度の殺虫剤散布を行うことによって, 昆虫やダニによる被害は軽減できると思われた.Sarapeeでは, 着花数不足を問題とした園が昆虫とダニの被害の次に多かったが, Ban Aieでは着果不足が次に多かった.着花数不足を問題とした園では, 問題としなかった園に比べ, 窒素施用量や剪定の程度が多かった.以上の結果から, 着花数不足はチェンマイ北部よりも南部においてより重大であると考えられた.