熱帯農業
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数種ケナフのバイオマス生産と光合成特性の比較
志水 勝好小村 繭子曹 衛東石川 尚人
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2004 年 48 巻 1 号 p. 35-39

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抄録

近年, 熱帯から温帯にかけて, 非木材の紙パルプ原料として注目されている植物にケナフ (Hibiscus cannabinus L.) がある.本研究ではケナフの基本的な生理生態的特性を明らかにすることを試みた.
ケナフ品種として粤豊1号, タイ系統, ミャンマー系統および農研センター維持系統を用いた.2001年5月7日から, 筑波大学農林技術センターのビニールハウス内で育苗した.5.4×6mの圃場内に南北の畦を畦間100cmで6畦設け, 各畦を4区に分けた.5月18~22日に株間15cmで各品種54個体を移植し, 乱塊法で品種を配置した.7月2日から, 10月29日まで一週間毎に合計18回, 草高, 節数を測定し, 開花を記録し, 生育初期 (7月17, 18日) , 中期 (8月23日) , 後期 (9月26日) および収穫期 (10月29, 30日) に光合成測定を行った.
草高および節数は, 各品種とも9月上旬まで高い増加率を示した.生育期間全体を通してミャンマー系統の草高が最も高く推移し, 次いで粤豊1号および農研センター維持系統, そしてタイ系統が最も低かった.農研センター維持系統およびタイ系統の残存葉数は粤豊1号, ミャンマー系統に比べ著しく低かった.タイ系統の分枝数は他の品種より多い傾向があった.粤豊1号およびミャンマー系統の主茎葉および主茎の乾物重は農研センター維持系統, タイ系統に比べ著しく大きかった.生育初期における光合成速度には品種間に差はみられなかったが, 生育中期からタイ系統が他の品種と比べて低下程度が大きく, 収穫期において他の品種より低い値となった.

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