熱帯農業
Online ISSN : 2185-0259
Print ISSN : 0021-5260
ISSN-L : 0021-5260
海外もやし原料豆導入に関する二, 三の研究
石井 善一
著者情報
ジャーナル フリー

1963 年 7 巻 1 号 p. 31-37

詳細
抄録

緑豆およびBlack matpeはもやし原料豆として重要であり, 現在日本で利用されている量の98%以上が海外からの輸入で, ビルマ産のBlack matpeは輸入種の80%以上を占めている.1955年以来その外来種を栽培し, 生態および形態的特性の調査を行なつてきたが, わが国の風土に適応する2種 (ビルマ産の緑豆1号とBlack matpe1号) と突然変異種1種 (アサガオ型) を見つけた.1962年までに前者は8世代, 後者は5世代を経過したがこの間その形質に変異はほとんど見られず固定した系統と判定された.なおアサガオ型は張家口産の4代目から生じた, これらの種類について形態・生理的特性などを観察したがその結果はつぎのようである.
1.外来緑豆1号はBlack matpe1号より発芽が早い.Black matpe号および張家口1号の胚軸は白または緑色である.2.アサガオ型の草形は小葉が3裂し, その他の種類は小葉が3裂していない.3.茎の断面はほぼ円形またはだ円形である.4.日本種は分枝少なく直立形で早熟形である.外来緑豆1号は分枝多出し横繁直立型で熟期はややおそい.張家口1号とアサガオ型はともに蔓性で張家口1号は晩性である.Black matpe1号はほとんど中間型である.アサガオ型は長い分枝をもつている.5.外来緑豆1号Black matpe1号およびAsagao typeは長期に亘つて着花し, 着莢・着花ともに多い.6.Black matpe1号は莢は短くそして厚い.しかしその他の種類は長くうすい.Black matpe1号, 張家口1号およびアサガオ型の莢の色は黒褐色でそして他の種類は黒緑色である.7.Black lnatpe1号の種子は黒色で, 張家口1一号とアサガオ型の種子は光沢があり淡緑色である.なお外来緑豆1号は光沢なく濃緑色である.8.外来緑豆1号とBlack matpe1号とアサガオ型はいずれも日本在来種より多収である.

著者関連情報
© 日本熱帯農業学会
前の記事 次の記事
feedback
Top