日本禁煙学会雑誌
Online ISSN : 1882-6806
ISSN-L : 1882-6806
原著
国内空港における喫煙室利用者の能動喫煙および受動喫煙の実態調査
鈴木 史明笠松 隆洋
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2016 年 11 巻 5 号 p. 123-129

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抄録

【目 的】 国内空港において、喫煙室の利用状況および受動喫煙状況を調査することにより、今後の受動喫煙防止対策を考える資料を得る。

【方 法】 国内5空港内の喫煙室利用者を対象に、喫煙室利用状況および受動喫煙状況を調査した。

【結 果】 調査18時間中、空港喫煙室を利用した者は1,094人(男性913人、女性181人)であり、全員喫煙者であった。5空港における1時間当たりの平均喫煙室利用者数は男性50.7人、女性10.1人であり、男性が約5倍多かった。また、平均滞在時間は男性5.6分、女性6.5分、平均受動喫煙は男性5.5分、女性6.5分で、いずれも女性の方が有意に長かった(p<0.01)。なお、平均滞在時間は飲み物の飲用がある者は飲用のない者に比べ有意に長かった(p<0.01)。

【考察・結論】 空港内に設置されている喫煙室を利用する者が多く、能動喫煙および受動喫煙にさらされていることが明らかになった。受動喫煙の影響を避けるべきであるとするWHOタバコ規制枠組条約の趣旨を踏まえると、受動喫煙防止法など強制力を伴う包括的な法律を早急に制定する必要がある。

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