本研究は、交通事故削減の効果が示され、全国で整備が進められている歩車分離式信号に着目し、整備による交通事故削減の効果をさらに高めるための条件を検討するため、歩車分離式信号の様々な条件が交通事故件数に及ぼす要因を分析した。分析は、実際の交通事故発生状況のデータと、交通事故リスク評価のために負の二項回帰モデルを用いて行った。その結果、主に次のことが明らかとなった。1)当事者の違いによって交通事故リスクに影響する要因が異なる、2)交通事故のリスクを低減する要因として、停止線間距離が短いことや自転車横断帯があることが挙げられる、3)歩車分離式信号整備との交互作用で交通事故リスクの低減効果を弱める要因として、全事故と自動車事故では停止線間距離が長いこと、全事故では周辺人口が多いことが挙げられる。