本研究は,道路施設について,生存開始時刻が不明のデータも利用して,ノンパラメトリックに生存関数を推定する手法を提案するものである.生存関数の推定は,医学,統計学分野における研究蓄積が多く,数種類の推定方法が提案されている.医学への適用では問診等で,患者の生存(症状)が始まった時点(生存開始時刻)がわかる場合がほとんどで,既往手法もそれを前提としている.しかし道路施設の場合には,施設の運用時期を直ちに知ることが難しい場合もあり,本研究では生存開始時刻が不明の計測データも利用して,生存関数をノンパラメトリックに推定する手法を提案した.さらに,実データを用いた検証を通して提案手法の特質を明らかにするとともに,データの計測方法による推定手法の選択について考察を行った.