抄録
交差点の信号制御では,その方向別流入率や飽和流率などの値が重要な入力値となる.それらの値を効率よく入手するために,コネクティッドカー(プローブカー)による移動体観測が着目されている.特に,集計されていない高分解能の車両軌跡データは停止位置や衝撃波を直接検知できるため有用である一方,社会的な利用可能性は必ずしも高くない.本研究では,混入率が相対的に小さい(0.1-1%程度)軌跡データに基づき,交差点への平均流入率と飽和流率を推定する手法を構築し,実データに基づき構築した.提案手法の特徴は,少ないデータでも頑健な推定ができるように単純なものとなっている点である.検証の結果,現段階では検証用データが少ないため断定的な結論は得られないものの,真値に比較的近い推定値を得られた.