交通工学研究発表会論文集
Online ISSN : 2758-3635
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第 44 回 交通工学研究発表会
  • 赤羽 弘和, 香取 樹, 上畑 旬也, 長田 陸, 大宮 博之, 野中 康弘
    p. 1-8
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    道路に沿って隣接設置された複数のビデオカメラにより観測範囲と観測精度とを高次元で両立させる走行軌跡推定システムを適用するため、中央自動車道の約 370m の観測区間においてプローブ車の 0.1 秒間隔の RTK-GPS 測位データにより、340 の路面近似三角形を設定した。隣接カメラ間のトラッキングデータの重複フレーム数を位置誤差最小となる 35 とした場合には走行速度の RSME が僅かに悪化する場合もあった。オクルージョン(車両の画面上の重なり)発生区間を別のカメラ画角で補完することにより、精度を悪化させることなく走行軌跡を継続できることを確認した。総括的には、隣接カメラ間での重複フレーム数には最適値が存在するが、同一区間における複数カメラのフレーム重複は推定精度向上に資する結果となった。

  • 兒玉 崇, ペンクレアシュ ヨアン , 橋本 申, 中西 雅一, 田名部 淳
    p. 9-14
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    高速道路の合流は,高速道路の運転のなかでも,苦手意識を持つドライバも多く,特に,高速道路本線と合流車線では速度差も大きいことから,合流タイミングの判断を見誤るドライバも少なくない.そのため,本稿では,合流に伴うリスクを定量化し,合流支援に活用していくことを目標に,合流部を対象に実測した車両軌跡データを基に,合流に伴う接触リスクを算出し,同リスクを活用して,合流に伴う接触リスクの発生を,ハードノーズ時点で予測する確率モデルを合流タイプ別に構築し,それらを用いてより安全な合流ギャップをハードノーズ時点で簡易に判定するモデルを構築した.さらに合流ギャップの判定後,流入するギャップの前後車両の不意な加減速等があったとしても接触リスクが発生しにくい車間関係を導出する手法を構築した.

  • 中田 吉紀, 石坂 哲宏
    p. 15-20
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    タイの都市間国道では、U ターン車両と対向直進車との衝突事故が問題視されている。U ターン車両が対向車両との衝突危険性をどのように認識し、U ターンを開始しているかを明らかにすることが事故対策の立案に不可欠である。本研究では UAV で撮影した動画から走行軌跡を抽出する画像処理技術を確立し、衝突リスクを定量的に表現し評価することを目的とする。本研究では U ターン車両を認識した後に対向車が減速する挙動が多く観測されたので、対向車の減速の有無で衝突リスクが大きく変わってくることから、これらを表現する指標を提案した。この指標は複数の対向車両との U ターン車両との錯綜点での通過時刻差を算出した。錯綜のパターンを複数に分類することで U ターン車両の衝突リスクを表すことができた。

  • 長田 絢子, 斎藤 遼, 小山 拓哉, 坂寄 優祐
    p. 21-24
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    首都高速道路では 2023 年度は約 9,000 件の交通事故が発生している。そのうち、追突事故、車両接触事故が約 8 割を占めている。このような状況で首都高速道路では CCTV 映像による事故発生時の映像を積極的に活用し、より効果的な交通安全対策の立案を行うこととした。一方で映像取得には時間を要する、手動で行う等の課題から、現時点ではすべての事故に対して、映像抽出及び確認、映像を用いた分析を行うことは困難である。よって本報告では事故多発地点である、中央環状線(内)飛鳥山トンネル、王子南入口付近を対象として、交通事故映像の抽出を行い、10 件の交通事故映像から車頭時間、速度プロファイル図、事故車両軌跡を整理し、今後の効果的な交通安全対策立案を行った。

  • 中村 孝一, 池田 武司, 丹野 裕之, 村上 舞穂, 井上 航
    p. 25-30
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    幹線道路における交通事故の削減にあたり,路側カメラで撮影した動画は,事故やヒヤリハットの発生過程を俯瞰的な画角で連続的に記録し,事故発生過程や要因の的確な把握と効果的な交通安全対策の選択に資すると考えられるが,膨大な動画からの事故やヒヤリハットの抽出に多大な労力を要する. そこで本研究では,AI 画像認識技術を活用した効率的な動画抽出手法の構築を目指す.実際の事故危険箇所で撮影した動画から物体の検出・追跡を行った上で,物体間の位置関係に基づくヒヤリハットの自動抽出を試み,目視で判定したヒヤリハット有無との比較により精度を検証した.さらに,事故分析の観点(類型・時間帯)から,類型による精度の差がないこと,昼夜間の特徴を把握するとともに,主な誤検出・見逃しとその原因を整理することで改善点を整理した.

  • 鶴海 雪乃, 原 祐輔
    p. 31-34
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究は交通事故のリスクを分析するために,画像処理を利用した全車両軌跡データを用いた交通事故リスク評価手法を提案する.交通事故リスクマネジメントには,事故だけでなく,交通コンフリクト(ニアリスク事象)の分析が重要である.そこで,交通状態を,道路区間全体の大域的な観点と前後する 2 車両間の局所的な観点という 2 つの観点から評価し,極値統計学の POT 法を用いて一般パレート分布のパラメータを推定することで事故発生リスクを評価した.その結果,マクロな交通状態が局所リスクに与える影聾を実証し,渋滞流では自由流よりも事故発生確率が 1.258 倍となることを示した.本研究は,事故発生データを必要としない事故リスク評価の手法を確宣し,今後は外部要素を含む複合的な事故因果構造の分析に拡張することが課題である.

  • 葛西 誠, 長谷川 裕修
    p. 35-40
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    単路部の渋滞発生後交通容量が渋滞発生時容量に比べて低いことはよく知られている。本稿では、ドライバーが等車間時間を維持するように追従走行すると仮定した場合、速度低下時に車長相当分の長さを走行するのに必要な時間(車長時間)が増加するために車頭時間が増加し、流率も低下することが自然に導かれることを簡単な計算をもとに述べる。また希望速度と希望車間時間を実現するように走行すると仮定した追従挙動モデルを構築する。希望車間時間項のみ有効とした交通流シミュレーションでは、先頭車の減速による減速波面の上流断面と下流断面での流率を比較すると下流断面での流率が小さくなることが確認された。また希望速度項も有効としたシミュレーションにより、希望速度項の影響が大きいときに下流流率の低下が見られないことにも言及する。

  • 顧 鈺, 大枝 良直, 外井 哲志
    p. 41-48
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    高速道路合流区間での運転者の合流パターンの選択は、持っている運転スタイルにかかわっていると見られる。さらに、異なる合流パターンは交通流に異なる影響を与えることが指摘されている。そこで、本研究では、NGSIM データベースにおける実測軌跡データを踏まえ、主成分分析及び K-means クラスタリングアルゴリズムを用いて運転スタイル識別モデルを構築し、過激型、普通型及び保守型運転スタイルに対する総合評価係数を算出した。また、二項 logit モデルを基づいて合流車両のギャップ選択プロセスを定量化分析し、的中率、ROC 曲線及び AUC 値によりモデルの妥当性を検証した。最後に、ギャップ選択モデルおよびセル・オートマトンを利用して交通流シミュレーションモデルを構築し、異なる運転スタイルを持つ運転者の割合が交通流への影響を分析した。

  • 大坪 裕哉, 林 祐志, 上畑 旬也, 堀田 光太郎, 平井 章一, 寺田 弘明
    p. 49-54
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    中央自動車道上り線の 3 車線から 2 車線に減少する上野原インターチェンジ付近では、下流側の小仏トンネルの渋滞とほぼ同時刻に渋滞が発生し、その後、小仏トンネルの渋滞と一体化する。小仏トンネル付近で現在工事中の別線トンネルを含む付加車線設置事業により小仏トンネルの渋滞が大きく削減されると、上野原インターチェンジ付近が主要なボトルネックとなると想定される。そのため、上野原インターチェンジ付近の渋滞発生メカニズムを把握することを目的に、交通実態調査を実施し分析を行った。その結果、渋滞は、車線減少部の下流側にある上り勾配部で発生し、その後、速度回復地点が上流に移動し、車線減少部で定着していることが確認された。さらに、小仏トンネルから延伸する渋滞と一体化することにより、交通容量が低下し、渋滞が悪化していることを把握した。

  • 櫻井 光昭, 上畑 旬也, 青木 隆志, 野中 康弘, 小根山 裕之
    p. 55-62
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    安全・快適な高速道路空間の提供には日常の維持修繕工事等に加え、橋梁の床板を取替えるなどの長期間のリニューアル工事が必要である。これらの工事による渋滞も多く、精度の高い渋滞予測の提供には渋滞発生メカニズムの究明等が重要である。渋滞発生メカニズムの究明には渋滞発生直前から渋滞発生後の交通現象と交通容量の実態把握が必要であるが VTR 調査分析は多大な費用・期間を要する。一方、都市間高速道路の同じ工事区間において車線規制形態別で発生した工事渋滞に関する交通流および交通容量の知見は見られない。そこで本稿では、中央道で実施した工事車線規制を対象に、WEB カメラデータと ETC2.0 プローブデータから作成したタイムスペース図から、速度低下伝播現象分析や渋滞伸縮現象分析等を行い渋滞発生メカニズムや交通容量の違いについて考察した。

  • 古橋 郁一, 林 由翔, 大宮 博之, 石田 貴志, 羽藤 英二
    p. 63-69
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究では、巨視的交通解析手法に基づく交通流予測の制約を踏まえて、車群内の微視的追従挙動モデルの枠組みとその評価を試みる。東名/新東名高速で OBD を用いた走行実験を実施し、得られた膨大なデータを画像処理した上で走行車両前後の車両の相対座標をデータベース化した。解析では車群位置を相対グラフとして扱った上で、時系列の位相推移の予測手法として LSTM と GNN のモデル比較を行なう。感知器/検知器/カメラ間において一定の巨視的物理的法則を仮定し交通予測をする従前の方法に対して、車群内の創発的機構に基づく速度の低下は LSTM を用いても再現することは難しく、車群の位相関係をモデル化した GNN の再現性が顕著に向上することを明らかにした。

  • 高瀬 達夫, 角田 尚寛, 野中 康弘, 石田 貴志, 中林 悠
    p. 70-76
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究では、山間部にあたる国道 254 号の片側交互通行規制時における飽和交通流率を実測し、大型車混入率別の飽和交通流率と大型車の影響を分析した。平均縦断勾配が 9%である対象地点では、平均飽和交通流率が 1,077 台/青 1 時間であること、大型車混入率が高くなると飽和交通流率が低くなる傾向にあり、大型車混入率 16~20%では平均 1,208 台/青1 時間、大型車混入率 29~34%では平均 1,006 台/青 1 時間であることを確認した。大型車混入率が高くなると、大型車の加速性能の影響もあって飽和交通流率が低くなると考えられる。また、車頭時間の分析より、前車の車種に関わらず自車が大型車の場合には車頭時間の最頻値や平均値も高くなることを明らかにし、大型車が飽和交通流率に影響を与える影響が大きいことを考察した。

  • 味戸 正徳, 長田 哲平
    p. 77-82
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    国内新設の芳賀・宇都宮 LRT は 2023 年 8 月に開業し、ネットワーク型コンパクトシティの形成の一端を担っている。想定需要を上回る勢いで乗車人数が増加しており通勤、通学者が多い時間帯に快速や増便などダイヤ改正を行なっている。沿線道路の渋滞解消のために通勤手段を LRT に転換する企業もあり、導入路線の交通流に変化を与えることが考えられる。そこで本研究では、導入路線に着目し LRT が導入される前と開業前後の導入路線の交通流の実態について AI 画像解析を用いて明らかにした。分析の結果から、LRT 軌道が敷設される以前に比べて開業から 3 ヶ月経った交通量と速度がともに低減し安定した交通流となり LRT 導入による効果が示された。乗用車の運転者は、新たな交通環境に対応し、通行していることが考えられる。

  • 大村 壮汰, 長田 哲平, 大森 宣暁
    p. 83-87
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    近年、環境問題等への対策のため、従来車に代わる次世代自動車の開発および販売が進んでいる。既存研究では、次世代自動車の走行特性やその普及可能性について、また 1 車種が混在した交通流への影響が明らかになっている。一方で、異なる性能を有する複数種の次世代自動車の走行が道路交通流へ与える影響についての分析は十分に行われていない。そこで本研究では、ミクロ交通流シミュレーションソフトを用い、複数種の次世代自動車の混在による影響を明らかにする。その結果、次世代自動車が混在することで、特に 1 車線道路では、停止回数や旅行時間の減少し、滞留長も改善した。一方で 2 車線道路では旅行時間がわずかに増加したため、次世代自動車の普及時には注意が必要であることが示唆された。

  • 土井 康正, 萩原 亨, 吉井 稔雄, 高橋 翔
    p. 88-95
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究では,冬期の札幌市内の幹線道路を対象として,運搬排雪・拡幅除雪が交通流に与える影響について分析する.マクロ的な交通状態を把握する手法として MFD が用いられている.本研究では,エリアにおける道路ネットワークではなく,路線におけるリンクの集合を分析対象とし,冬期における対象分析区間の交通状態の評価を試みた(以降,車両存在台数-走行台キロ図).降雪や積雪,路肩の堆雪によって朝のラッシュ時に車両存在台数-走行台キロ図上にヒステリシスループが発生し,そこで渋滞となっていることが明らかとなった.6:00-8:59 の全プロットの凸包の面積(以降,ループ面積)を算出し,降雪・運搬排雪・拡幅除雪との関係を分析した.拡幅除雪・運搬排雪が交通流に与える影響を表す指標としてループ面積を用いることが有効である可能性が示された.

  • 甲斐 大貴, 松尾 幸二郎, 宮崎 耕輔, 杉木 直
    p. 96-101
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    我が国では歩いて登下校することが一般的であり、交通事故や犯罪に対する安全確保のために多くの学校が集団登下校を実施している。一方で、集団登下校中に児童が巻き込まれる事故や児童数の減少・学校の統廃合等の現状から、その安全性や継続性に関する議論も行われている。しかし、各学校がどのような考えや意図をもって集団登下校を実施しているかは分かっていない。そこで本研究では、各地の小学校における集団登下校の実態詳細や集団登下校の長所・短所の認識について把握することを目的とし、アンケート調査の実施および集計分析・統計モデル分析を行った。その結果、集団登下校の実施有無による認識の差や将来の実施方針の傾向を把握することができた。

  • 栗原 豊季, 山脇 正嗣, 寺奥 淳, 倉科 慧大, 森本 章倫
    p. 102-109
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり
  • 山田 崇史, 福田 涼斗
    p. 110-117
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究では、ながらスマホ経験者に、スマートフォンの利用行動と交通事故に関する意識を調査した。個人属性とスマートフォンの利用状況、歩行中や乗り物運転中のスマートフォン利用に関する意識の関係を分析するとともに、歩行中におけるスマートフォンを確認するタイミングの要因を分析した。その結果、20 代、男性、長時間のスマートフォン利用者は、事故が起きない限り、歩行中にスマートフォンを利用してもよいと考える傾向が高いことが明らかになった。そして、歩行中におけるスマートフォンを確認するタイミングに大きく関連する要因は、20 代~40 代、スマートフォンを「ないと非常に困る」と考えている、交通ルールを守る意識が低い、歩行中や運転中のながらスマホを状況に応じて許容している等が明らかになった。

  • 三村 泰広
    p. 118-123
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    歩行者など衝突被害が大きくなりやすい多様な主体が共存する生活道路では,とくに衝突時の運動エネルギーを低下させることが重要になる.本研究では,運動エネルギーの多少に直結する走行車両の「質量」に着目し,生活道路における事故被害との関係性を分析し,当該道路における走行車両の質量低下の意義を考察することを目的とする.警察庁が公開する交通事故オープンデータを通じて車両損壊程度と当事者種別から推定される車両質量の関係性を分析した結果,乗用車サイズが大きいほど自車の損壊が小さくなること,車両質量は自車の損壊程度を軽減する代わりに,他車の損壊程度を大きくさせ,自車,他車を含めた全体としての事故被害を大きくすること,とくにこの傾向は生活道路で顕著となることを明らかにした.

  • 鈴木 雄, 奥田 大統, 加藤 秀樹
    p. 124-128
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究では、重傷・死亡事故を無くすための交通安全対策の検討のために、ヒヤリハット、軽傷事故、重傷・死亡事故の関係性について基礎的な分析を行った。愛知県豊田市の過去 10 年間(2013 年から 2022 年)の事故データと、2022 年に豊田市で実施したヒヤリハット調査、交差点構造や規制情報、周辺施設配置など多様なデータを組合せ、その特性の把握を行った。過去 10 年間に軽傷事故のみが発生している交差点は、幅員が狭く、信号機や一時停止などが無い交差点であることが明らかとなった。また、事故件数自体も少ないことが示された。今後はより詳細な分析を行うことで、ヒヤリハット、軽傷事故、重傷・死亡事故の関係と、それらの関係のメカニズムを解明することにつなげたい。

  • 吉城 秀治, 玉置 慎, 吉本 光輝, 辰巳 浩, 田部井 優也
    p. 129-135
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    交通事故発生件数は年々減少傾向にあるが、生活道路の交通事故の減少幅は幹線道路と比較して小さくなっている。死傷事故件数についても同様であり、生活道路の事故発生件数の削減に向けて交通事故分析は重要な課題となっている。そこで本研究では、近年著しい発展を遂げている画像認識 AI(CNN)によるモデルを構築し、交通事故分析への適用可能性を検討するとともに、交差点画像の最適な条件を明らかにすることを目的とした。モデルを実装し評価を行った結果、画像認識 AI は交通事故分析に十分適用可能であり、その画像に関しては解像度「1,280:960」、空色「水色」、交差点からの距離「10m」が学習に最適であることが明らかになった。さらに、赤い建物など画像内に映り込んでいる彩度の高い建物の存在も画像認識 AI の認識に大きく影響していることも示された。

  • 複数の生活道路交差点を対象として
    大久保 皇, 松尾 幸二郎, 杉木 直
    p. 136-141
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    生活道路には無信号交差点が多く存在し、その道路構造によって道路利用者の心理や挙動に与える影響や交通事故の危険性が異なることが考えられる。本研究では、Mobile Mapping System(MMS)による三次元点群データを活用することで、これまで定性的な評価がなされることの多かった無信号交差点の見通しを定量的に評価する手法を構築することを目的とした。結果として、交差点進入時の道路利用者の視点から一定の視野角内に存在する点群データ数に基づく見通し率を左右別に算出することで、交差点の左右それぞれの見通しを定量的に評価することができた。また、点群データの高さ情報に着目することで、視認されるべき道路利用者(子供など)の高さを考慮した見通しを評価できる可能性が示唆された。

  • ―岡山県を対象として―
    橋本 成仁, 廣瀬 暖, 西村 航太, 氏原 岳人
    p. 142-148
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    国土交通省は、令和 6 年度以降の通学路について、小学校周辺を面的に捉えた交通安全対策を促進し、「小学校周辺はこどもの安全が第一」という意識の醸成を図ることを掲げている。ここで、面的な対策を促進していくためには、小学校周辺の交通事故特性を把握することが重要である。そこで、本研究では、一般的にスクールゾーンの対象範囲とされる小学校から半径 500m 内を「市街地型」、「郊外型」、「地方型」の 3 地域に類型化し、地域間で交通事故特性を比較した。その結果、「市街地型」や「郊外型」は交通事故の発生危険性が高い一方で、『右左折』や『後退』のような低速で運転中の事故が多く重大事故の割合が低いことを、「地方型」は交通事故の発生危険性が低い一方で、『直進等速』のような高速で運転中の事故が多く重大事故の割合が高いことを明らかにした。

  • 萩田 賢司, 新井 棟大, 森 健二, 木平 真, 矢野 伸裕, 横関 俊也
    p. 149-154
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    デジタル道路地図、交通事故、交通規制データを統合して分析するシステムを活用し、交差点事故を対象として、当事者の流入道路を特定して、自動車の右左折時の進行方向や道路の方位角を考慮しながら、太陽の眩しさが交通事故に与えた影響を分析した。その結果、交差点では、太陽と第 1 当事者の流入道路の方位角差が小さいほど、相対的に交通事故が多発していた。また、第 1 当事者が右左折車の場合には、太陽位置が第 1 当事者の流入道路の真横方向まで影響を受けていることが想定され、運転者の流入道路を基準にすると、非常に広範囲で太陽の眩しさが交通事故に影響を与えていることが想定された。軽車両や歩行者が第 2 当事者である右左折時の事故は、太陽の眩しさが交通事故に与えている影響範囲がより大きいことが推定された。

  • 兵頭 知, 北中 幸輝, 奥嶋 政嗣, 小林 貴
    p. 155-161
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    生活道路の安全対策をより促進するため,生活道路の事故件数や交通量データ等を組み合わせた客観的データを交通事故対策実施場所の選定に活用することが期待される.そこで,本研究では,ETC2.0 データ,DRM データ及び交通事故データを用いて,徳島県内市街中心部の代表交差点 117 地点を対象に交差点単位で共分散構造モデルに基づき,生活道路交差点の交通事故件数と各種交差点特性との関係について階層的に要因分析を行った.その結果,見通しの悪さが交通事故増大に直接的に影響していること,幹線道路依存度から非優先側交通量を介して交通事故に与える間接的な影響構造を明らかとした.このことから,各交差点の見通しなどの交差点属性に加え,位置する道路交通状況や土地利用などの視点を踏まえて危険性が高い地点を抽出する重要性が示唆された.

  • 赤木 大介, 森 英高, 片岡 宏仁, 松岡 由佳, 林 通宏, 島津江 康統, 内海 泰輔, 寺岸 康介, 高木 一誠, 五十嵐 祐介, ...
    p. 162-169
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    人中心の道路の実現に向け、駅前やまちのメインストリートなどの道路整備の在り方が大きく変わろうとしているなか、多様な交通モードと歩行者が共存できる道路空間の創出が求められている。本稿では、歩行者とモビリティとが共存する広い道路空間にてモビリティ等を安全に通行させるための効果的な路側支援方法として路面に埋設可能な道路鋲に着目した。そして、歩行者向けの自発光鋲であるスマート道路鋲を新たに開発し、呉市で実施された社会実験にてその効果を検証した。その結果、明るい環境でも歩行者は道路鋲の発光に気づくこと、他地域での実績がある LED 表示板より評価が高く歩行者に注意を促す効果が期待されることなどが明らかとなった。なお、スマート道路鋲は注意喚起以外にもイベント時のライトアップなど様々な場面での活用も期待できる。

  • 柿元 祐史, 小野 ひかり, 松戸 努
    p. 170-174
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    高規格幹線道路では、IC入口部における誤進入や目的のIC通過後のUターン等の逆走事象が発生している。しかし、逆走事象は事故や通報等がないと検知できず、逆走事象が発生しやすい危険な区間の事前把握は極めて困難である。よって、本研究では、ETC2.0プローブデータを用いて逆走事象の潜在的リスク区間の抽出手法を提案する。また、提案手法で抽出した区間に対して、実観測調査により逆走事象につながる「迷い交通」を観測し、本手法の妥当性の検証を行う。特定のICを短時間の内に往来する車両情報を「迷い交通」と定め、全情報件数に占める割合を算出し、逆走事象の潜在的リスクが高い区間を把握した。実観測調査により、抽出された区間の「迷い交通」が占める割合は、提案手法の結果と同程度となり、ETC2.0プローブデータにより逆走事象の潜在的リスク区間を抽出することが可能となった。

  • 飯田 克弘, 丸橋 慧士
    p. 175-182
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    近年,工事区間始端部に正面から進入する事故が急増している.この原因として運転手,道路,車両の三要素間での問題が考えられるが,本研究では,運転手-道路系の問題に着目し,衝突事故低減に向けた工事区間での規制情報提供の提案を試みた.ドライビング・シミュレータを用いた室内走行実験を実施し,運転者の注視と車線変更位置,車線変更を判断した対象をデータとして取得した.分析結果から,車線数減少標識,道路工事中標識をこの順序で 2 枚ずつ設置し,最高速度標識を現行の設置方法に準拠し設置することが先に述べた事故のリスクを低減する可能性を把握した.この標識配置に,先行研究で特定した,遠方から視認しやすく,車線変更位置を早める効果がある標識車を組み合わせた規制情報提供が工事区間での衝突事故低減に期待できると提案した.

  • 長田 絢子, 坂寄 優祐, 斎藤 遼
    p. 183-186
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    首都高速道路では、交通事故において死傷事故に繋がるリスクが高い自動二輪車に着目し、二輪車を対象とする安全対策方針として 2018 年に「二輪車交通安全対策実施方針」を策定した。策定にあたっては、過去の二輪車の重大事故や二輪ライダーを対象としたアンケート調査結果を整理し、対策立案を行った。その後、実施方針に基づく対策として、「カーブ部手前のカラー舗装延伸」、「フィンガージョイント滑り止め対策」、「ライダー転落防止構造」、「入口閉鎖幕の改良」といった現地対策を推進した。さらに、ホームページ上での注意喚起や関連団体と連携した広報活動を行い、二輪車の事故啓発を進めてきた。本稿ではこれらの取組状況及び対策効果について報告する。

  • 平澤 匡介, 中村 浩, 山田 慶太
    p. 187-193
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    ワイヤロープ式防護柵は支柱が細く、車両が衝突した時の衝撃を緩和し、設置のための必要幅員も少ないことから、高速道路暫定二車線区間土工部に標準設置するレーンディバイダーとして採用された。その結果、令和 5 年 3 月末迄に全国で 1,400km 以上の区間に整備され、普及が進む過程で、ワイヤロープ式防護柵端部の斜めに張られたワイヤロープに車両が乗り上げて、ジャンプする事故が発生した。対策として、乗用車がワイヤロープ式防護柵の端部に衝突したときに、対向車線に飛び出さない能力を有しながら、衝突車両の乗員保護のために衝撃を吸収する緩衝装置の設置を検討した。本稿は、ワイヤロープ式防護柵の端部衝突事故対策としてガードレール型緩衝装置の開発について報告する。

  • 宮内 弘太, 高田 和幸
    p. 194-201
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    近年わが国では,自動車による運転の誤操作や危険運転等による交通事故の発生が深刻な社会問題となっている.運転者の運転操作が必要ない自動化運転の技術開発が行われている一方,解決すべき点が多く導入には未だ時間を要することが想定される.そのため,運転者による運転操作を支援し,事故を未然に防ぐ予防安全技術の推進は今後も必要不可欠である.そこで本研究では,事故の発生につながる運転が行われる際は,正常ではない異常運転が発生していると考え,異常運転の発生有無を検知する手法の提案と有効性の検証を行った.手法の提案では,検知のアプローチが異なる二つの手法を提案した.有効性の検証では,交差点での安全不注意による場面を設定し,検知を行った結果,本手法を適用することで事故の低下につながる可能性が示唆された.

  • ―プリンスオブソンクラ大学内のラウンドアバウトを対象としてー
    荒川 翔吾, 積田 典泰, 福田 敦
    p. 202-209
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    タイのラウンドアバウトの安全性を評価する際には,自動二輪車の混入率が高い点など先進諸国と異なる交通特性を考慮することが重要である。そこで,本研究では,タイのプリンスオブソンクラ大学内のラウンドアバウトを対象に,各走行車両の走行軌跡を衝突エネルギーの観点から危険か危険でないかを判別した。また,危険であると判別された走行軌跡を用いて,ラウンドアバウト内での危険な地点の抽出を行い,その要因について考察した。その結果,ラウンドアバウトの環道への流入部及び西部に危険な地点があることを確認した。

  • 飯田 克弘, 中田 渡月
    p. 210-217
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究では交通事故の削減に向け,注意の持つ機能に着目し,各機能と運転挙動との関連性を分析した.ドライビング・シミュレータを用いた室内走行実験から車両・運転者挙動に関するデータを収集し,走行後に行った注意検査から注意に関するデータを収集した.得られたデータを用い相関分析を行った結果,一定時間集中して作業を継続する機能が低いほど走行位置を維持できないという関連性を得た.また不要な刺激を抑制し本来の標的に意識を向ける機能が低いほど標識の視認が遅れるという関連性を得た.さらに複数の作業を同時に実施する機能が低いほど前方注視率が低くなるという関連性を得た.上記の結果に加え,各機能が相対的に低い被験者が一定割合存在することを踏まえ,標識・情報板のデザインおよび配置を見直す必要性を示唆した.

  • 靏園 真大, 藤原 章正, 清家 美帆, 力石 真, 笹岡 貴史, 小野 健太郎, 山脇 成人, 大和田 徹, 内海 泰輔, 赤木 大介
    p. 218-221
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究は,妨害運転の影響を抑制し,交通安全の向上に資するための基礎研究として,希少事象である妨害運転に実際に遭遇した運転者の生体情報を計測し,ストレスと外部環境との関係について分析した.ウェアラブルな計測器を使用し,被害者のストレスを脳波,心拍数の LF/HF(LF(低周波)と HF(高周波)のパワー比率),および指温度により計測した点に特徴がある.本研究の学術的貢献は,運転中という不安定な環境でウェアラブル計測器を装着し,脳波計,心拍計、指温度計により各種生体情報を計測し,ストレスの程度をリアルタイムに可視化したことにある.また実務的貢献は,妨害運転という稀少事象において脳波を含む生体情報等を計測し,ストレスの変動を分析した点にある.

  • 阿部 舜哉, 佐々木 みのり, 浜岡 秀勝
    p. 222-228
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    高速道路において、対面通行となる暫定 2 車線区間の安全対策として、ワイヤロープが設置されている。これにより、対向車線への飛び出し事故件数は減少しているが、一方で、ワイヤロープへの接触事故が増加している。この対策として秋田県などでは、道路上に走行位置を示す車両誘導線が試験的に施工されている。しかし、この車両誘導線の効果を発揮しやすい道路断面の位置や線の種類は明らかになっていない。そこで、VR を用いた走行実験によりこれらについて明らかにする。道路横断方向の走行位置とアンケート調査の結果から、道路中央の白色破線の外側から 120 ㎝離れた位置に車両誘導線を設置した場合、走行位置を安定させる効果が最も高いことが分かった。また線の種類については実線の場合、走行位置を安定させる効果が最も高いことが明らかとなった。

  • 植森 真一, 小川 浩生, 伊藤 大貴, 牧野 修久, 安藤 雅則, 中山 裕昭
    p. 229-233
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    車両相互事故が多発する名古屋高速道路都心環状線・鶴舞南 JCT 合流直後における車線変更の抑制を図ることを目的とした総合安全対策を令和 4 年 11 月に実施した。総合安全対策の一つとして都市高速道路において全国初となる車線キープグリーンラインを導入したことから、本稿では車線キープグリーンラインの設置対策の経時的効果検証の結果を報告する。

  • 江種 鼓太郎, 白柳 洋俊, 倉内 慎也
    p. 234-240
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    ドライバーの注意喚起を目的に,高速道路上の危険箇所に法定外看板や警戒標識等の情報提供施設が設置されている.しかし,高速道路を走行するドライバーは進行方向遠前方に視覚的注意を定位することから,その周囲に出現する情報提供施設に十分な視覚的注意を定位するに至らず,当該施設の発見の遅れや見落としが生じているものと思われる.見落としの緩和には,視覚手がかりや錯視により,標的に視覚的注意を誘導することが有効である.そこで本研究では,視覚手がかり及び錯視が情報提供施設の発見遅れを緩和する可能性を室内実験により検証した.実験の結果,特に視覚手がかりと錯視を組み合わせることで,標的の発見遅れが緩和することが示された.

  • 阪本 浩章, 邢 健, 後藤 秀典, 早田 政博, 甲斐 穂高
    p. 241-248
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    日本の高速道路では、重大事故に繋がる恐れがある逆走を防止するための対策が数多く設置されている。高速道路会社が全国共通の対策として設置した既存対策に加え、世間一般から募集した技術(公募技術)を各地に設置している。この公募技術の中で、道路に設置してドライバーの視覚に訴えて注意喚起を行う 8 種類の技術に対して、それぞれの逆走防止効果の分析を試みた。本研究では、先行研究で構築した評価手法に準じ、VR(バーチャルリアリティ)で再現した 3DCG の逆走運転動画による被験者実験を実施した。234 名の被験者に対し、8 技術の適用場面別に評価を行った。その結果、いずれの場面においても既存対策の逆走防止効果が効果を発揮している結果となった。また、8 技術の中では「プレッシャーウォール」「エアバルーン」「オーロラビジョン」において、既存対策に対する改善効果がやや高い結果となった。

  • 上野 宇悠, 池田 武司, 藤田 裕士, 村上 舞穂, 森山 真之介
    p. 249-254
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    ゾーン 30 プラスの取り組みの拡大には、物理的デバイスの技術的知見等を蓄積し、道路管理者への技術的支援が重要である。幹線道路と生活道路の交差点のハンプ(スムーズ横断歩道)は、通行車両の速度抑制に加え、生活道路の起終点やゾーン入口を運転者に示し、注意喚起を図る効果がある。しかし、現地状況により傾斜部の延長を確保できない場合があり、標準構造のハンプ採用を困難にさせている。そこで、標準構造から傾斜部の延長、縦断勾配や平坦部の高さを変えたスムーズ横断歩道で走行実験を行い、車両挙動による客観的評価や被験者へのアンケート調査による主観的評価により、標準外のスムーズ横断歩道の構造検討を行った。その結果、標準構造より勾配を急にすることで、標準構造と同等の効果を期待できるスムーズ横断歩道の可能性が示唆された。

  • 川本 義海, 土井内 悠
    p. 255-258
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    無信号交差点における一時停止率向上と速度抑制を促す目的で実施した停止線の位置変更と段差舗装の設置効果の一般性とその特質を探るために、地区特性が異なる地点における効果を比較検討した。その結果、カラー段差舗装の設置に比べて停止線の位置変更の方が一時停止率の向上に対する効果は大きいこと、住居系地区に比べると業務系地区の方が効果はやや大きいことが明らかとなった。また停止線直近での若干の速度上昇傾向が見られたものの、一時停止率は向上するとともに一時停止しない車両の停止位置も安全側に推移していることが明らかとなった。以上より、速度抑制効果は得られなかったものの、地点特性により効果の大小はみられるが一時停止率向上を促し、ドライバーの節度ある安全運転挙動への改善につながっていることを示唆した。

  • 長井 亮也, 早田 千浩, 鈴木 弘司
    p. 259-266
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究では,新規路面表示である市松模様のチェッカーペイント 2 種の実道設置による,車両挙動への影響と利用者の受容性について分析を行った.まず,横断歩道上流部の路面へのチェッカーペイント設置によって,単独走行車両への影響として譲り挙動割合の僅かな上昇と速度抑制効果が確認できた.また,追従状態での追突危険性について,チェッカーペイント設置後に最小 PICUD 値は大きな値となり,追突危険性が低くなることを示した.次に,アンケート調査によって,チェッカーペイントはドライバーに対して反射的に減速を促す効果があることを示した.また,時間経過に伴う評価の変化に着目したところ,大きな差はなく持続的な効果があることが示された.

  • 今井 亮佑, 吉井 稔雄, 倉内 慎也, 白柳 洋俊
    p. 267-272
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    本研究では,夜間において,横断歩行者の出現に備えた安全運転を促す事故対策,ならびにドライバーによる早期の歩行者認知を支援するための事故対策を考案し,屋外実証実験によりその有効性を検証する.具体的には光を使用したライトアップによる事故対策として,プロジェクションマッピング投影による事故対策およびスポットライト点灯による事故対策を提案し,それらが車両挙動に与える影響を調べた.分析の結果,スポットライトセンサー点灯は早期のブレーキ動作を促進し,ドライバーによる早期の歩行者認知を支援する,プロジェクションマッピング投影は低速での走行を促すことが示された.

  • 塚越 一輝, 高橋 翔, 萩原 亨, 嵯峨根 義行
    p. 273-280
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    道路照明は夜間の道路において,ドライバが路上障害物を認識できる視環境を作る役割を担っており,この設計には,低い平均路面輝度かつ高い輝度均斉度条件におけるドライバの路上障害物の視認閾値を明らかにすることが必要である.本研究では,低輝度の出力が可能な有機ELディスプレイを用いて,路上障害物を模擬した視標を被験者に提示するシステムを開発し,室内での被験者実験を行った.実験結果から,視認閾値は輝度均斉度が高くなるにつれ平均路面輝度が下がる傾向を示し,高輝度均斉度となる場合に,一定の平均路面輝度に漸近することが明らかとなった.これまでの視認閾値は,直線で定義されてきたが,視認閾値が一定の平均路面輝度に漸近した結果から,低路面輝度の条件では高い輝度均斉度にすべきことが示唆された.

  • 中川 晴賀, 薬袋 奈美子, 三寺 潤, 三村 泰広
    p. 281-287
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    路面へ特定のデザインを施す「路面装飾」は、先行研究で道路の人優先の意識と車両の走行挙動の醸成に有効であることが示されている。しかし、当該研究は実験空間での検証に留まっており、成果の一般化に向けては公道での検証が不可欠である。そこで本研究では、福井県内の実際に使用される生活道路を対象として走行実験を実施し、路面装飾の有効性を検証した。人優先の意識の醸成効果についてはアンケート調査、走行挙動への影響についてはアイトラッカーを用いて収集した視行動に関するデータ及び走行速度の事前事後比較を行った。検証の結果、路面装飾がドライバーに人優先の意識を持たせる効果があり、道路進入部の空間認知量の増加や単路部の走行速度低下といった歩行者を意識した走行を促すものであることが確認された。

  • ‐ドライビングシミュレータの走行データ分析から‐
    中野 結香, 中川 晴賀, 嶋田 喜昭, 樋口 恵一, 三村 泰広, 薬袋 奈美子
    p. 288-295
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    路面装飾は、路面へ特定のデザインを施し人優先の意識や車両の走行挙動を醸成する歩車共存手法である。路面装飾の敷設による速度抑制効果、注意力向上については検証されているが、特定デザインでのものにとどまっている。本研究では、路面装飾デザインの走行速度をはじめとする走行挙動への影響を、ドライビングシュミレータ(DS)を用いて検証した。ドットデザインを基準に道路面への配置や大きさ、設置面積等を検証した結果、路面装飾の配置方法について、道路全面ではなく一部外側線を跨いで配置することや、ドットを千鳥配置とし密度を高めることで速度抑制効果が上がること、道路の始点より中間に設置することで段階的な速度抑制の可能性があることを確認した。

  • 伊藤 純, 樋口 恵一, 三村 泰広, 山岸 未沙子, 伊藤 僚, 村上 滉一
    p. 296-299
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    高齢運転者は無信号交差点における出会い頭事故の多さが特徴としてしられ、事故が発生した交差点や危険な交差点をカラー化するなどの注意喚起対策を行っている。当該対策により、減速時や停止時に減少するとされる脳活動が刺激されることが望まれるものの、その実態が明らかでない。そこで本研究では、カラー舗装化された無信号交差点運転時における脳の活動状況を明らかにする。後期高齢者が事故を起こしやすい変形交差点の VR 空間を作成し、ドライビングシミュレータ運転時の脳活動を計測した。カラー舗装による明確な脳活動量の高まりは確認できなかったものの、高齢者群は非高齢者群と比較して交差点を通過し終わった後に脳活動が低下する傾向が確認された。

  • 木原 龍, 本間 良平, 松尾 幸二郎
    p. 300-304
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    有料道路に関わる車両の誤進入は、逆走といった危険行動の要因にもなるため問題となっている。愛知道路コンセッション株式会社が管轄する衣浦豊田道路の牛田 IC では月 70 件程度の車両誤進入事案があり対策が急務となっていた。牛田 IC は、高架下に位置する隣接した一般道から有料道路に直結しており、有料道路入口から料金所に到達するまでの区間において北側の豊田方面と南側の高浜方面に分かれる複雑な構造となっている。そこで事故対策ワーキンググループにおいて、対策の検討、実施、効果分析を行った。その結果、一般道から有料道路に誤進入する車両が減少した一方で、有料道路に入った後の方面間違いによる誤進入に対しては、大きな効果がみられなかったが、ナビによる誤進入が多いなど、新たな課題も見つかり今後も継続的改善が必要である。

  • 吉城 秀治, 田中 龍人, 辰巳 浩, 田部井 優也
    p. 305-310
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    多くの地方都市をはじめとする中心市街地では人中心の空間へと変換を進めるまちなかウォーカブル推進事業が進められつつある。それを受けて学術的にも商業地における歩行者の回遊行動や行動特性を明らかにするための研究が行われているが、子ども自身に着目した研究は数少ない。そこで本研究では、商業地街路における子どもの移動の様子を観察し、アクティビティの実態把握を行うとともに、子どもの属性や歩行環境との関係について検討した。クロス集計の結果、アクティビティの発生状況は、年齢、同伴者、歩行環境がその生起に関わってくることが明らかとなった。そしてこれらの要因を説明変数にし、アクティビティの発生状況を従属変数とした多項ロジスティック回帰分析を行っており、各要因との関連を定量的に明らかにしている。

  • 黒田 昇吾, 佐々木 邦明, 豊木 博泰
    p. 311-316
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    スマートフォンなどで使われる無線通信の規格には Wi-Fi や Bluetooth があり,それらは現代での生活で必要不可欠なものになっている.これまでに Wi-Fi パケットセンサから得られるデータを用いた人流解析などの研究は多く行われてきた.しかし近年,Wi-Fi アドレスのプライバシー保護が重要視され,端末の固有識別子である MAC アドレスの識別化が難しくなっている.一方 Bluetooth 機能は様々な機器に搭載され,その MAC アドレスは約 15 分程度であれば変わらないという特徴を持つ.そこで本研究では Wi-Fi と Bluetooth パケットセンサから取得できるデータの現状を整理し,Bluetooth パケットセンサから得られるデータの有用性を示す.また,取得データから歩行者交通量の再現可能性を検証する.

  • 中村 一樹, 小野 巧, 小倉 悠太朗, 松井 快晟
    p. 317-324
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/01
    会議録・要旨集 認証あり

    近年、歩行者のための街路空間整備が進められているが、地区の回遊を促すような街路ネットワークの整備には至っていない。街路ネットワークの整備には、歩行ルートの空間の質の変化を考慮した評価が重要である。このような歩行ルートの空間情報の解析は、街路動画の連続画像のビックデータに対する機械学習の適用が有用である。本研究では、街路動画の評価について、画像認識と再帰型ニューラルネットワーク(RNN)で推計する歩行空間評価モデルを構築し、その結果を説明可能な AI(XAI)を用いて解釈した。まず、街路動画に対して画像認識を行い、連続画像の空間指標を計測した。そして、街路の連続画像からルートの評価を推計する RNN モデルを構築した。最後に、このモデルの評価結果について、XAI を用いて影響要因を特定して解釈した。

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