交通工学研究発表会論文集
Online ISSN : 2758-3635
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第 43 回 交通工学研究発表会
  • 鈴木 雄, 大澤 侑加, 加藤 秀樹, 寺部 慎太郎, 柳沼 秀樹, 海野 遥香
    p. 1-6
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    本研究では,ヒヤリハット調査により算出した交差点の人対車両事故の死亡事故リスク地点について,道路形状別で周辺施設・交通規制情報を用いて要因分析を行った.従来のヒヤリハット調査による死亡事故リスクから対策必要箇所を算出する方法に加え,ヒヤリハット指摘の無い交差点まで含めて対策必要箇所を検討するものである.各交差点について道路構造にてクラスター分析により分類を行った.抽出されたそれぞれの交差点クラスターについて周辺建物・規制状況による死亡事故リスクへの影響要因分析を行った.この結果,それぞれの交差点特徴における死亡事故リスクへの影響要因を把握している.これらの結果を用い,ヒヤリハット指摘のない交差点の死亡事故リスクを算出したところ,新たに 25 箇所の交差点について危険箇所と推計された.
  • 長谷川 裕修, 葛西 誠
    p. 7-10
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    交通安全危険予知訓練 (KYT) 後の中長期的な追跡調査によって,参加者に望ましい交通行動変容があったことが報告されているが,これがどのような要因によるものかは明らかになっていなかった.本研究では交通行動変容にKYTが与える効果を検証することを目的として,KYT教材種別・交通安全意識などを予測変数とする交通行動変容順序ロジットモデルを構築した.2020年度・2021年度に実施したKYTで得たデータを用いて分析を行った結果,以下の2点が明らかとなった.1) VR教材での学習は対照群と比べて道幅・カーブミラー確認・後方確認・右側通行に有意な効果がある,2) 写真教材での学習は対照群と比べて左右確認・道幅・カーブミラー確認・後方確認・右側通行に有意な効果がある.
  • 小嶋 文
    p. 11-18
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    自転車の安全対策を検討するにあたって、交通事故のデータからは衝突直前に自転車が歩道と車道どちらを走行してきたか判別できない場合も多い。そこで本研究では、比較的自転車の走行位置が判別しやすい単路部での交通事故に限って分析を行うことで、単路の事故の形状別の事故特性、および自転車の歩道走行、車道走行の事故の特性について検証した。その結果、トンネルや橋での重大事故率の高さとともにその要因と考えられる事項として自動車の速度や路肩の余裕のない道路構造を示し、また自転車通行空間整備による安全性向上の可能性を示した。また左折自動車との事故では歩道より車道の重大事故率が高い様子はみられないことが分かった。一方、右折自動車との場合には、やや車道上の重大事故率が高い様子が見られた。
  • 石ヶ森 郁弥, 吉田 長裕
    p. 19-25
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    交通安全教育は、交通安全対策の重要な柱の一つであり、安全な行動を導くための重要な役割を果たす。教育介入方法として、計画的行動理論等の理論モデルを適用して交通行動変容を扱った研究が多く、交通安全教育の正しい理解と効果的な教育・学習機会の提供が求められている。また、実際の自転車行動把握や安全性の評価に、ナチュラリスティックサイクリングデータが利用されているが、教育・学習効果の検証に利用した例はほとんどない。本研究では、探求的学習による自転車利用行動の変容プロセスに着目し、実際の通学状況を題材としたワークショップ形式の交通安全教育が行動変容に与える影響を定量的に分析した。結果、過大評価の是正や、「やる気」「責任感」に影響を与え、自分の行動を変えたいという「行動意図」を向上させることができた。
  • 小嶋 文, 永山 幹太, 間邊 哲也
    p. 27-31
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    本研究では、自転車に小型の機器を据え付けて子どもに対する適切な安全指導や注意喚起を行う、自転車安全運転支援システムについて保護者の意向から検討した。自転車で子どもと出かける機会のある保護者に対して Web アンケート調査を実施し、自転車安全運転支援システムの利用意向に影響する事項について、利用意向に期待事項と不安事項が影響すると仮定したモデルを設定し、共分散構造分析を用いて分析した。分析の結果、利用意向に子どもの年代や性別による有意な影響は見られなかった一方、保護者がいなくても子どもに警告できることや交通安全教育の効果があるといった期待が有意に影響していること、また子どもが楽しんで故意に警告を出すような行動をしてしまうといった不安事項が有意に影響していることが分かった。
  • 松尾 幸二郎, 宮崎 耕輔, 杉木 直
    p. 33-40
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    我が国では、小学生は 1 年生から子どもだけで歩いて登下校することが一般的である。小学生の登下校の安全性を確保するための取り組みとして、集団登下校を実施している学校も多く見られるが、集団登下校の交通安全効果を明らかにした研究は見られない。そこで本研究では、集団登下校の実施が小学生の登下校中の交通事故頻度に与える影響について実態分析を行うことを目的とする。具体的には、まず、都道府県別の小学生数および集団登下校実施学校率と、小学生の通学等目的での事故頻度との関係性について、基礎分析および統計モデル分析を行った。また、愛知県内市区町村を対象として、PT データを用いて集団登校トリップ率を推定した上で、小学生事故頻度との比較を行った。その結果、集団登下校が一定の交通安全効果を持つことが示唆された。
  • 小川 圭一, 溝口 万里江
    p. 41-47
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    日本の多くの地域では、古くから土地利用がおこなわれ、それに応じた交通路としての道路が形成されてきた。そのような道路に対し、後から整備された幹線道路が交差して形成される交差点は、既存の道路や土地区画の形状に影響を受けるため、交差角度が鋭角になったり、交差点面積が大きくなったり、交差点形状が複雑になったりといった、一般に交通事故が発生しやすい交差点構造になることが推測される。本研究では滋賀県、京都府の直轄国道を対象に、交差点構造と交通事故発生状況に対する交差点の道路形成順序の影響について分析をおこなった。その結果、道路形成順序と過去の土地利用が交差点の交差角度、交差点面積、停止線セットバック距離といった交差点構造に影響を及ぼし、それが交通事故発生状況に影響を及ぼしていることが示された。
  • 上坂 克巳, 山本 俊雄, 箕作 光一, 野尻 敏弘
    p. 49-54
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    我が国での交通事故対策の検討においては、国道や都道府県道等の幹線道路では事故率等に基づいて事故危険箇所を指定し、集中的な対策を実施することで交通事故の削減に大きく寄与してきている。一方、全国道路・街路交通情勢調査の対象外である市町村道においては、客観的データに基づく事故危険箇所の抽出と計画的な交通事故対策はほとんど行われておらず、交通事故の削減が幹線道路ほど進んでいないのが現状である。ここでは、この課題解決に向け、デジタル道路地図データと交通事故データとを組み合わせ、市町村道を含む一般道路での事故多発交差点を抽出し分類するための実用的方法を提案するとともに、千葉県での 5 年間の交通事故データを用いたケーススタディにより、その手法の交通事故対策検討における有用性を確認した。
  • 萩田 賢司, 新井 棟大, 森 健二, 木平 真, 矢野 伸裕
    p. 55-61
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    交通事故発生地点の緯度経度情報を含む交通事故統計原票の一部項目がオープンデータ化され、様々な分析が可能となった。以前から、交通事故多発交差点を特定したうえで、様々な交通安全対策が実施されてきたが、多発交差点の特定方法は、定められた明確な手法がなかった。そのため、千葉県警から公表されている交差点コードを活用した交通事故多発信号交差点の集計結果、 DRM の交差点ノードを活用した手法、交通事故地点の位置関係などから算出する方法を比較したところ、集計方法によって件数が異なり、その原因を明らかにした。その結果、 DRM の交差点内道路リンクが適切に指定されれば、 DRM の交差点ノードを活用する方法が望ましいが、交通事故地点の位置関係から多発交差点を算出し、交差点コードで補完する方法が現実的であることが示された。
  • 新井 棟大, 萩田 賢司, 森 健二, 矢野 伸裕, 木平 真
    p. 63-67
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    生活道路の安全対策として、ある区域一帯に最高速度 30km/h の速度規制を実施する「ゾーン 30」が積極的に設置されている。このゾーン 30 は、域内の通過交通を抑制する効果や、車両の走行速度を低下させる効果があり、この結果事故リスクを低減することが多くの研究で示されている。一方で、事故リスクへの影響については、効果の時間的変化など知られていないことも多い。本稿では、この効果を分析するため、ゾーン 30 の位置データを用いて事故と紐づけを行い、事故の発生日とゾーンの設置日を比較できるようにすることによって、ゾーン設置前後における事故件数の詳細な変化を示した。その結果、ゾーン 30 は特に重傷・死亡事故の抑制に強い効果があること、またその効果は規制開始直後が最も強く、徐々に低減していくことが明らかになった。
  • 須永 大介, 原田 昇, 関 航太郎
    p. 69-76
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    日本の交通事故死者数は、令和 4 年には 2,610 人と過去最少の人数を記録しているが、今後も交通事故死者数や交通事故件数の削減に向けた取り組みを行うことが必要である。本研究では生活道路の交差点を対象に、交通事故の実態と道路構造・交通規制に関する要因との関係を分析することで、生活道路の交差点における交通事故の発生特性を明らかにすることを目的とした。その結果として、自動車対自転車の事故が多く発生する交差点は、①側方余裕距離が 2m 以下、②見通し距離が 2m 以下、③自転車側の道路が自動車の一方通行と逆方向の規制で自動車の流入がない、④自転車が自動車から見て右側から進入する、の 4 つの特徴を備えていること,自動車対歩行者の事故についても、通学路の経路上に危険と判定され、対策がなされていない交差部が存在すること等を明らかにした。
  • 村上 滉一, 樋口 恵一, 三村 泰広, 中野 克己, 伊藤 純
    p. 77-80
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    わが国は年間 30 万件以上の交通事故が発生しており、事故類型別では、追突、出会い頭衝突に順で多い。出会い頭は、全交通事故に対する構成比が 2016 年を境に増加傾向にあり、75 歳以上の高齢ドライバーでは出会い頭における死亡事故の割合が高い。警視庁のオープンデータから「高齢ドライバー・中規模以下無信号交差点・出会い頭事故」で集計整理した結果、愛知県が全国 1 位であった。高齢者の免許保有割合の影響も少ないことから出会い頭事故が発生する無信号交差点空間に課題や特徴があると考えた。本研究では、愛知県を対象にオープンデータを用いて無信号交差点を作成し、県下の無信号交差点の総数を捉えることで無信号交差点の実態と事故発生交差点空間の特徴を明らかにする。
  • 北川 永遠, 中村 俊之, 三輪 富生, 森川 高行
    p. 81-88
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    高速道路上の事故件数は減少傾向にあるものの,死亡事故率は一般道路上での死亡事故率より高い現状にあり,道路管理者は事故防止対策や削減対策を継続的に担うことが求められている.名古屋高速道路では,首都高速道路,阪神高速道路での事例を参考として,交通事故リスク推計やその情報活用の検討を開始したところである.交通事故リスクの推計は,今後の事故防止対策及び削減対策を実施する上で有用であることから本研究では,阪神高速道路や首都高速道路の選考研究を参考として,説明変数の設定や事故リスクの定義を行い,事故件数の多い大高線上りを対象として,モデルを構築した.さらに本研究では,構築したモデルを用いた精度検証を試みた.
  • Xingwei LIU, Jian XING, Fumihiro ITOSHIMA, Kuniaki SASAKI
    p. 89-95
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    Traffic accidents have grave implicationsin terms of human life and property. Efficient traffic management requires a profound comprehension of the underlying causes of accidents and the ability to predict their severity partially. In this study, we investigated the factors contributing to accident severity by utilizing accident data collected from the Gotenba to Tokyo section of the Tomei Expressway in Japan during 2019. We employed a random forest model on the cleansed dataset to predict traffic accident severity, encompassing a total of 701 cases. Additionally, a grid search was conducted to identify the optimal hyperparameters for this random forest model. To gain the independent performance and impact of each factor on traffic accident severity, we employed SHAP (SHapley Additive exPlanations) to show the visualization results. This effective tool facilitated the identification of high-risk routes and individuals. Notably, our analysis revealed that accidents occurring at the end of congestion were more prone to severity. These compelling findings provide valuable insights for the development of strategies aimed at enhancing expressway management.
  • 西堀 泰英, 岸岡 正樹, 横山 宙季, 小嶋 理江, 若林 拓史, 寺本 浩
    p. 97-102
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    生活道路における安全・安心な歩行空間の整備に向けて,運転者に横断歩道の存在を認識させ,横断者に注意を向けさせることが重要である.本研究では無信号横断歩道の視認性を含む道路交通環境が,一時停止率に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする.大阪市旭区周辺と名古屋市昭和区周辺の 21 地点で実態調査を行い,一時停止率を把握するとともに,道路交通環境が一時停止率に及ぼす影響を分析した.本研究で得られた主な成果は以下のとおりである.1)調査対象地点全体における無信号横断歩道の一時停止率は 49%であった.地点別では最高 89%,最低 4%と大きく異なっていた.2)両側 2車線よりも片側 1 車線の地点で一時停止率が高い傾向を確認した.3)横断歩道の鮮明度,すなわち視認性が一時停止率に影響する可能性を示唆する結果が得られた.
  • 金 進英, 大藤 武彦, 蓮花 一己
    p. 103-109
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    筆者らは、運転能力に必要不可欠である有効視野を簡単に測定して、繰り返しトレーニングをすることで有効視野を回復させることが可能な支援ツールとして「有効視野テスト」を開発した。本研究では、高齢者を対象に、「有効視野テスト」及び「視力検査」と「運転ぶりテスト」の実験を行い、「有効視野」は「視力」と異なることや「有効視野」と「運転ぶり」との関係について明かすことで、高齢者運転の安全対策としての「有効視野テスト」の有用性を検証し、活用方法について論じる。高齢ドライバーが「有効視野テスト」結果のフィードバック情報を理解していただいて、より安全な運転に役立てていただくとともに、繰り返し練習をすることで有効視野が拡大できれば、高齢ドライバーの交通事故防止にも寄与することが期待される。
  • ‐視覚性能・脳活動・身体能力に着目して‐
    樋口 恵一, 三村 泰広, 伊藤 純, 山岸 未沙子, 伊藤 僚, 村上 滉一
    p. 111-114
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    高齢運転者は加齢に伴う視覚性能の変化や反応遅れ、確認行動の不足など、身体能力の低下が適切な運転プロセスの履行に影響を与えている。これまでの研究では運転プロセスの中で視覚性能・脳活動・操作に関わる身体能力を一体的にとらえて実態を評価している研究はみられない。そこで本研究では単路走行シミュレーション走行におけるアクセルからブレーキへの踏み替え操作を対象に、年代別に当該運転挙動に影響する身体活動の影響度合いを分析した。その結果、非高齢者では認知・判断・操作を司る身体能力との関連性がみられ、高齢者はブレーキ操作時間とそれぞれの身体活動との結びつきが弱く、特に『判断』における身体活動が確認できなかった。今後、高齢運転者には運転プロセスの繋がりを意識したトレーニングの必要性が示唆される。
  • 大近 翔二, 笠原 芳美, 松戸 努, 浜岡 秀勝, 鈴木 透
    p. 115-121
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    交差点内における右折直進事故を防止するための交通安全対策として、右折レーンと直進レーンの間にゼブラ帯を設け、離隔を設けることにより対向直進車の視認性を向上させる右折レーンセパレート化が実施されている。一方で、本対策は道路幅員の再配分もしくは用地拡幅が伴うため、十分な離隔が確保できずに適用困難とされるケースも見られる。本研究では、右折レーンセパレート化について、セパレート幅と視認距離の関係を整理するともに、交通安全性の向上に寄与する必要視認距離を検証することを目的とする。具体的には、右折直進事故が多発している秋田県内の一般国道を対象として、ドライビングシミュレータを用いた走行実験を行い、セパレート幅に応じた交通挙動や利用者意識の変化について分析し、ドライバー特性による傾向の違い等を把握した。
  • 増澤 諭香, 榎本 碧, 福島 宏文
    p. 123-129
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    ラウンドアバウト中央島へのマウンドや植栽等のランドスケープの導入は、遠方からのラウンドアバウトへの視認性の向上や速度低下につながり、安全性が高まるとされる。一方、国内の新設事例でマウンドした箇所は 2020 年時点で 5 件程と少ない。これは中央島と運転挙動との関係が明らかでなく、その設計指針や緑化基準等の詳細な規定が確立されていないためと考えられる。そこで本研究では、安全面と景観面で優れた中央島設計の提案に向け、異なる中央島の条件について走行実験を実施し、マウンドや植栽により環道流入時の見通しを一部遮った場合の運転挙動と走りやすさ等の評価を分析した。この結果、中央島径 12mでマウンド高さ 0.4~1.2mの場合、運転者の視線挙動を環道方向に制御することができ、走りやすさ等の総合的な評価が高くなることが明らかになった。
  • 飯田 克弘, 石原 大貴
    p. 131-136
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    現在,無信号横断歩道において車両側の違反が原因で歩行者が死亡する事故が問題となっている.この問題に対して,物理デバイスと交通規制を組み合わせ,人優先の安全・安心な通行空間を整備する取り組みが展開されている.本研究では,ここで取り扱われる物理デバイスの一つである路面標示に着目し,その車両速度抑制効果を検証した.既存の指示標識のピクトグラムと既往研究で提案されたデザイン指標に基づくピクトグラムを用いた路面標示を同一地点に設置し,進行方向前方に横断歩道が設置された調査区間を通行する車両の速度抑制効果を比較した.分析結果から,デザイン指標に基づくピクトグラムを用いた路面標示を設置した場合,路面標示が無い場合に対して,調査区間の各地点で速度低下すること,横断歩道に向かって速度低下することが示唆された.
  • 嶋田 喜昭, 石川 雄大, 三村 泰広, 坪井 志朗
    p. 137-142
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    自転車の活用推進が図られている中、各地で車道部に自転車通行帯など自転車通行空間の整備が進められているが、整備後における利用率の低さが問題となっている。本研究では、VR による仮想の道路空間(単路部)を用いて、コンジョイント分析により自転車利用者の通行場所選択に及ぼす道路構造・交通条件の影響要因を把握し、自転車通行帯の利用率向上に向けた検討を行った。その結果、自転車の通行場所選択に関しては、「自転車通行帯」の整備形状、「最左車線+路肩幅員」の広さ、および「歩道幅員」の広さが大きく影響しており、車道(自転車通行帯)の通行を促すためには、路肩から歩道を含めた空間における自転車通行帯の幅員構成や整備形状がポイントになることが示唆された。
  • 小野 ひかり, 柿元 祐史, 松戸 努, 浜岡 秀勝
    p. 143-147
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    暫定二車線区間において、ワイヤロープの設置により正面衝突事故の発生件数が激減し、正面衝突事故対策に極めて高い効果を発揮している。一方、ワイヤロープへの接触事故は増加傾向にあり、ワイヤロープやその支柱を目立たせる対策などが行われているが、依然増加している。本研究ではワイヤロープ接触事故の特性を分析し、それを踏まえた新たな対策の提案と、対策の効果を検証することを目的とする。秋田自動車道に設置された車線中央ドットライン、立体路面表示を対象に、利用者意識調査、ビデオ調査を用いた走行位置、速度の分析結果を整理した。新たな対策により、ドライバーの走行位置への意識に影響があることを確認した。さらに、車線中央ドットラインは、設置なしの状態に比べて漫然運転の防止、走行速度の抑制に有効であることを把握した。
  • 山本 航, 土橋 剛士
    p. 149-152
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    高速道路への人等の立入は、高速道路利用者、進入者ともに生命に関わる危険な状況をつくりだすため、道路管理者としては防がなければならない重要な課題である。これまでは外国人旅行者、認知症の老人がフォーカスされていたが、 2020年以降の新型コロナウィルスの影響及び、ナビアプリの普及に伴い、原付の進入が都内を中心に急激に増加した。本文は、こうした原付の進入を防止するため原因を分析したところ、立入禁止看板があるにも関わらずナビアプリの案内を優先し視認されていないことから、原付の目線の高さでも視認でき、少ない投資で効果的と考えられる路面シールをインターチェンジ入口の車道軌跡上に施工することとした。その結果、一時的に効果はあったものの車両による摩耗により劣化消失したこと及び今後の課題を報告するものである。
  • 阪本 浩章, 糸島 史浩, 邢 健, 後藤 秀典, 早田 政博
    p. 153-158
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    高速道路での逆走は、重大事故に繋がる恐れのある危険事象であり、逆走防止は重要な課題である。高速道路では従来の逆走防止対策に加え、公募して選定した逆走防止対策を導入している箇所もあるが、その設置効果は定量的に検証されていない。本研究では、逆走対策公募技術の評価手法として、実際に逆走したデータを取得することは安全確保の観点から困難であるため、VR により再現した逆走運転動画を用いた。逆走動画を被験者に視聴してもらい、逆走に気付く被験者の割合や逆走に気付くタイミングが公募技術毎にどのように異なるかを分析した。その結果、逆走防止対策公募技術の設置効果が確認されるとともに、その設置箇所によって効果が増減することが分かった。また、既存の逆走防止対策との組み合わせる際に留意点が存在する可能性も確認された。
  • 伊藤 大貴, 牧野 修久, 小川 浩生, 野月 理絵, 大橋 基良, 中山 裕昭
    p. 159-165
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    名古屋高速道路都心環状線・鶴舞南 JCT は交通量の多い 2 路線の合流部であり、車両相互事故が多く発生している。要因として、合流直後に車線変更する車両が多く存在し、危険な車両交錯が発生していることがあげられる。しかし、車線変更車両の中には、鶴舞南 JCT より下流側の道路ネットワークを踏まえると、合流直後に車線変更が不要な交通需要が大半を占める。そこで、鶴舞南 JCT 合流部における不要な車線変更の抑制を図ることを目的とした総合対策を令和 4 年 11 月に実施した。総合対策の一つとして分合流が短区間で存在する都市高速道路において全国初となる車線キープグリーンラインを導入したことから、本稿では鶴舞南 JCT 合流部の総合対策および都市高速道路での車線キープグリーンラインの検討経緯について紹介するものである。
  • 増田 智志, 鈴木 祐太郎, 秋山 岳, 松崎 健
    p. 167-170
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    首都高速湾岸線の本線通行止実施時に、 2 車線の乗継街路で車線利用率の偏重が WEB カメラによるリアルタイムモニタリングで観測されたため、 LED 標識車を設置し、車線利用率の平準化を目的とした現地案内を行った。その際、より効果的な誘導ができるよう【パターン A:現地の車線の状況を示す表示】【パターン B:ドライバーの行動を示す表示】の 2 種類の異なる思想による表示内容を用意し、現地案内を行うとともに、各パターンにおけるドライバーの行動変化を整理した。その結果、後者の表示において車線利用率の改善が見られた。このことから、規制実施時等の道路状況に不慣れな利用者が多い場面では、ドライバーへ具体的な行動を示す案内とする方が、誘導に効果的である可能性がある。
  • 江原 豊, 恩田 幹久, 三鼓 快
    p. 171-174
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    高速道路各社では、平成 27(2015)年から高速道路ネットワーク機能を長期にわたって健全に保つための高速道路リニューアルプロジェクト(大規模更新・大規模修繕事業)を実施している。リニューアル工事では、対面通行規制等の交通規制を実施しながら施工していくため、交通量が多くなる週末や平日の朝夕等に渋滞が発生することがある。令和 3(2021)年秋季の高速道路リニューアルプロジェクトにおいて、渋滞の発生が予測されている工事を対象に交通規制区間での速度低下抑制を目的に「路面点灯誘導灯」、「脱着式ペースメーカーライト」を設置するとともに、渋滞時の車線減少箇所での「ファスナー合流」の情報提供を実施し、その効果を検証するものである。
  • 長内 圭太, 加藤 寛道, 石垣 博将, 清宮 広和, 中林 悠, 石田 貴志
    p. 175-182
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    渋滞対策の効果検証では、2時点(期間)の交通状態を比較することが多い。数多くある渋滞対策のうち路面標示変更は、利用者が対策に慣れることで対策効果が低減していく可能性が考えられ、その持続効果は明らかとなっていない。本研究は、渋滞対策として路面標示を変更した東松山 IC 付近(下)の車線キープグリーンラインと、大泉 JCT 付近(内)における右付加・左絞込みに伴う車線境界線の白実線化を対象に、交通状況の比較分析を行うことで、その持続効果を検証した。効果検証の結果、両地点とも対策後に交通容量の増加と追越車線利用率の低下が持続しており、対策効果が継続的に発現していることを明らかにした。また、大泉 JCT 付近(内)では、対策直後から 2 年間で車線利用率が均衡しており、経時的に交通状態が改善されていることを確認した。
  • 柿元 祐史, 小野 ひかり, 松戸 努, 浜岡 秀勝
    p. 183-187
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    交通量の少ない郊外部の国道において対面2車線区間が連続し、低速車の影響で車群が形成され、無理な追越しなどの危険がある。そのため、低速車を高速車から分離して通行させることを目的として、避譲車線(ゆずり車線)を設置している。しかしながら、避譲車線の利用率を上げる対策及びその車両挙動への影響は十分に議論されていない。本研究では、国道7号の今泉ゆずりあい車線区間を対象に、ゆずりあい車線への誘導ライン等の対策を設置し、対策前後の交通挙動の比較から、対策が車両挙動に与える影響を分析することを目的とする。ビデオ調査を用いた車頭時間、走行速度の分析、Webアンケートを用いた意識調査の結果を整理し、対策による車線利用率の増加やゆずりあい車線と走行車線の速度差の増大等を明らかにし、対策意図に沿った車両挙動への影響を確認した。
  • 金﨑 圭吾, 和田 健太郎, 西田 匡志, 平井 章一, 寺田 弘明
    p. 189-195
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    本研究は,中央道上り線小仏トンネルに渋滞対策として導入された音声注意喚起(速度回復情報提供)システムによる,渋滞発生時交通量,渋滞発生後捌け交通量等の交通性能の長期的な改善効果を考察する.より具体的には,音声注意喚起システム導入前後4 年間における交通性能実績と交通流モデルのキャリブレーション結果を季節ごとのフェーズで比較することで,音声システムによる交通性能改善効果の持続性およびコロナ禍も含む様々な交通/環境条件下における音声の効果を分析する.その結果,音声の有無によらずコロナ禍前後で交通容量が大きく低下している一方で,音声注意喚起システムによる交通性能改善効果は十分持続していることがわかった.
  • 加藤 裕, 小早川 悟, 田部井 優也
    p. 197-203
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    駐車場出入口においてほとんどの車両が一時停止を行っていないが、交通渋滞の解消・緩和が期待されている自動運転車が普及した場合には法令遵守で走行する車両が増え、駐車場出入口での一時停止率が周辺の交通流の円滑性へ影響を与えることが考えられる。そこで本研究は、ミクロ交通シミュレーションを用いて自動運転車の混在状況において駐車場出入口における一時停止が周辺交通流に与える影響を分析した。その結果、自動運転車混在率が増加するほど、平均遅れ時間が増加する傾向が見られたが、多車線道路では入庫車両の後続車は追越車線を選択することが多いため、大きな遅れ時間は発生しなかった。一方、交通量と歩行者交通量が増加してくると平均遅れ時間の増加量は大きいことがわかった。
  • 加藤 泰貴, 円山 琢也
    p. 205-211
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    自動運転車両の実用化によって交通の円滑性向上が期待されている。しかし、バス路線での導入の際には、バスと一般車の干渉でバス停周辺の交通状況も大きく変化する。それにより、既存の MVs に対してのバス停構造の利点や欠点が変化する可能性があり、自動運転社会におけるバス停構造と円滑性の関係性を明らかにする必要がある。そこで本研究では、仮想空間で AVs 混在期におけるバス停構造(ストレート型/バスベイ型)の違いが円滑性に与える影響を分析し, 実道路ネットワークに適用させることで, AVs 車両普及段階での理想的なバス停構造を検討した.その結果、AVs 混在率が小さい時はバスベイ型の方が、混在率が大きくなるとストレート型の方が理想的な乗降場であることを示した。
  • 石田 貴志, 大口 敬, 邢 健, 糸島 史浩, 舌間 貴宏, 阪本 浩章
    p. 213-220
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    本研究では、近年における交通性能の経年変化の要因を考察するため、 ACC 利用者を対象とした WEB アンケート調査を実施し、 ACC 機能の利用実態や、 ACC に対する意識の経年的な変化を分析した。分析の結果、現時点における高速道路利用者の ACC 装着率は概ね 3 割程度と想定できること、個人の経年変化として ACC 利用頻度は増加している状況であり、交通状況によって ACC 利用頻度や設定車間距離を変化させていることを明らかにした。また、自身の運転と比べて速度は低く、車間距離は長くなっているという傾向にあり、 ACC の普及が近年の交通性能低下要因の 1つである可能性を考察した。その他、 ACC とは関係なしに、加齢に伴い交通性能を低下させる方向に運転挙動が変化していることを明らかにし、高齢ドライバーの割合の増加も交通性能低下要因であることを考察した。
  • 中川 敏正, 井坪 慎二, 石原 雅晃, 花守 輝明, 湯浅 克彦
    p. 221-224
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    自動運転車は、車線維持支援システム(LKAS)を作動して高速道路を走行するが、区画線がかすれている箇所では車載カメラが区画線を検知できず、 LKAS が正常に作動しない場合がある。本研究では、区画線の剥離率と LKAS の作動状況との関係を把握するため、試験走路に剥離した区画線を整備し、区画線の剥離率を事前に特定後、複数車種の車両を繰り返し走行させて LKAS の作動状況を実測する実験を行った。その結果、本実験の条件下では、 LKAS の作動・非作動の境目となる区画線の剥離率は、晴天の場合では 75%程度となることを明らかにした。また、 LKAS の作動に影響する条件として、「時間」、「天候」、「走行方向」があり、「昼間」、「晴天」、「昇順方向(区画線の剥離率が高くなる方向)」の場合に LKAS作動率が相対的に高くなることを明らかにした。
  • 山本 隆, 中島 信行, 𠮷川 貴司
    p. 225-229
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    高速道路の老朽化に伴い工事規制が増加する中、工事規制材に接触する事故は増加傾向にある。この要因として、近年普及が進んでいる先進運転支援システムに頼ることで、ドライバーが漫然運転となっていることが想定される。本研究では、高速道路の工事規制材に対する先進運転支援システムの反応について、確認する実験を行った。実験では、5 種類の工事規制材に対して、6 車種を用いて、警報の有無と車両機能による停止を確認した。その結果、通常の工事規制材に反応することとは少なく、矢印板を 4 枚組み合わせた特殊なものに対しては、ブレーキ警告や前方接近警告が発せられたものの、車両停止機能の発動は 1 車種で 1 回のみであり、ADAS 機能による工事規制材への接触回避は期待できないことが明確となった。
  • 飯田 克弘, 和田 侃樹, 丸橋 慧士
    p. 231-237
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    近年,工事規制区間始端部に正面から進入する事故が急増している.事故の直接原因は運転者の漫然運転であるが,誘発要因の一つとして運転者の先進運転支援システムへの依存が懸念されている.一方で,システムが工事規制区間始端部において期待通りに作動していない可能性も考えられる.そこで,複数メーカーの車両を用いて走行実験を行い,衝突被害軽減ブレーキと交通標識認識の作動条件を確認,比較した.結果,現行の安全太郎に対して衝突被害軽減ブレーキが作動しないことが判明した.また,作動位置にばらつきはあるが,最高速度標識は問題なく認識されること,工事規制区間始端部における標識設置間隔が十分確保されていることが確かめられた.加えて,道路線形によっては標識を進行方向右側路側帯に設置する必要があることも示唆された.
  • ―4 車線道路における自転車実走実験による分析―
    内藤 喬, 辰巳 浩, 田部井 優也, 吉城 秀治
    p. 239-245
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」が制定され、自転車走行環境は車道を基本として整備が行われているが、自転車と自動車を隔てる物理的な分離が存在しない自転車専用レーンや車道混在での整備が多く行われている。そこで本研究では、先行研究で開発された自転車を用いて 4 車線道路において自転車を追い越す自動車の走行挙動を調査した。その結果、自転車を追い越す自動車の走行挙動は道路構造要因や第二通行帯の車の有無で変化することが明らかになった。また、その走行挙動に影響を及ぼす道路構造要因を特定することを目的に重回帰分析を行った。その結果、車線幅員や自転車通行空間の有無が自動車の走行挙動に与える影響が大きいことが明らかとなった。
  • 御所名 航也, 吉田 長裕
    p. 247-250
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    信号交差点において直進自転車と左折車のより安全な走行を実現するため、交差点構造を現状よりも安全にしていく必要がある。日本における自転車通行空間の例をみると、自転車道や自転車専用通行帯、矢羽根・ピクトグラムの表示などの整備がなされている交差点やそうでない交差点があり、それにより自転車の通行位置にも違いが生じている。とくに信号交差点では、左折車と複数の自転車通行パターンによる複雑な錯綜状況も生じており、錯綜危険度に関わる要因を明らかにする必要がある。そこで、本研究では、複数の自転車と左折車の選択的錯綜の特徴を自転車の走行軌跡に基づいて明らかにするとともに、TTC(Time to Collision)指標を使って錯綜パターン毎の安全性を比較することで、交差点隅角部の設計に関する知見を得ることを目的とする。
  • 松本 修一, 若目田 綾音, 田口 七菜, 海老澤 綾一, 吉田 長裕
    p. 251-256
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    交差点における交通事故対策の前提として、信号灯器が適切な位置にあることが重要であると指摘されている。信号灯器の設置位置に関して、車両用信号については、交差点の手前に設置することが有益であることが DS 実験から指摘されている。その一方、自転車専用信号の設置位置に関しては、殆ど知見が無い。本研究では、自転車専用信号の設置位置による自転車利用者の停止挙動への影響を検討するため、自転車シミュレータを用いた停止挙動に関する実験を行った。その結果、以下のような知見が得られた。1.車両用信号の位置に関わらず、自転車専用信号が交差点手前にあることで、自転車の無理な交差点進入を抑制する効果がある。2.自転車用信号が手前にあることで、被験者は自転車専用信号を参考にしやすくなる傾向にある。
  • 田部井 優也, 辰巳 浩, 吉城 秀治
    p. 257-260
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    本研究は、坂路部、特に上り坂ではふらつきにより自転車と自動車の離隔距離が十分に確保できない懸念から、坂路における実際のふらつきを異なる複数の勾配区間において計測を行った。その結果、上り勾配では急勾配になるほどふらつきの平均値、最大値ともに大きくなることが示された。一方で下り勾配では急勾配になるほどふらつきの値は小さくなる傾向が示された。また常に強くペダルを漕ぐ必要のある急勾配では、ふらつきの値が全体的に大きくなっていることから、ペダルの動作とふらつきの値が関係していることが示唆された。また男女別では女性の方が、日ごろの乗車経験の有無別では乗車経験のないグループの方が、ふらつきの値が大きいことが示され、特に急勾配区間では自転車走行空間の幅員を広くとる必要性を示した。
  • 宮崎 妃奈与, 鈴木 一史, 鈴木 弘司
    p. 261-265
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    本研究では,電動キックボードの対面すれ違い回避挙動に着目した走行実験を通じて,被験者属性別に回避挙動特性について分析を行った.被験者を性別,自転車利用頻度別,バイク免許保有別,普段の車の運転特性別に分類し,電動キックボード同士または自転車対電動キックボードのすれ違い走行に関して,すれ違い時の離隔距離と回避開始位置の分析を行った.その結果,男女別では離隔距離に大きな差がなく,電動キックボード同士のすれ違いでは回避開始は女性のほうが遅い傾向にあることが分かった.自転車利用頻度別では普段自転車に乗らない人のほうが,離隔距離がやや大きく,調査員走行位置 0m のときに回避開始が早いこと,バイク免許保有別ではバイク免許保有者のほうが,離隔距離が大きく,回避開始が早い傾向にあることが示された.
  • 吉城 秀治, 辰巳 浩, 田部井 優也, 田中 椋丞, 市丸 詩織, 碇 竜弥
    p. 267-274
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    自動車と電動キックボードが混在する道路空間において、安全性や円滑性の確保が求められている。そこで本研究では、幅員構成の違いが、電動キックボードを追い越す自動車走行挙動に及ぼす影響、ひいては追い越しに関わる安全性と円滑性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、幅員の異なる 5 路線において計測を行った。その結果、電動キックボードと自動車を安全かつ円滑に共存させる上では、普通道路程度の幅員構成よりも狭い場合は安全性と円滑性が低下すること、幅員が広い路線では離隔距離は 1.5m 以上確保できやすく安全性については大きく問題にはならないものの、自動車走行速度が高い場合ではとりわけ円滑性に留意する必要があることなどを明らかにした。
  • ―利用経験とリスクテイキング尺度に着目してー
    樋崎 恵一, 谷口 綾子, 後藤りえ
    p. 275-281
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    本研究では、都心部での電動キックボードシェアリング導入に関する政策決定の一助とするため、国内での実証実験期間が長く、導入台数が比較的多い東京都区部(渋谷区、港区、目黒区)の住民と来訪者(n=1500)を対象に、電動キックボードシェアリング利用経験者と未経験者の比較を行うべく WEB アンケート調査を行った。その結果、利用経験者は、若年層、高学歴、高収入、電動キックボードシェアリングの実証実験が盛んな地域に居住しており、自転車や自動車を多く利用する傾向が示された。また利用経験者は未経験者よりも、電動キックボードと類似する交通手段である「自転車」のルール認知度が低く、リスクを好む傾向にあることが示された。
  • -行政および関連組織担当者へのインタビューを通じて-
    後藤 りえ, 谷口 綾子, 樋崎 恵一
    p. 283-290
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    本研究では、法改正前の電動キックボードシェアリングの安全性等に関する評価や懸念を把握し、本格導入に向けた政策検討の一助とすることを目的に、国内の行政および関連組織の担当者等へ個人の見解を尋ねるインタビュー調査を行った。結果、少なくとも都内の現状として、電動キックボードの事業者参入規制・インフラ整備・駐車対策・環境影響への評価等を所管する行政主体・組織がないことが示唆された。その上で、現在の導入・普及状況に対し、ルール周知や交通安全教育を強化すべき、導入の効果・影響を今よりも多角的に評価すべき等の課題が挙げられた。一方、国内への導入・普及が途上であることもあり、歩道走行による歩行者等への危険性、個人所有端末との混在、従来のモーダルシェアへの影響、環境への負荷等に対する強い懸念は示されなかった。
  • 李 驍騰, 大沢 昌玄
    p. 291-295
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    2021 年 5 月に策定された第 2 次自転車活用推進計画において、シェアサイクルの普及及び施設の整備が基本方針に据えられている。このような背景もありシェアサイクルは大都市を中心に普及し拡大傾向にあるが、ある区域を境にシェアサイクルでなくレンタサイクルに変わる。しかし、全国市区町村レベルでの実態は明らかとなっていない。そのため、本研究にて全国の自市区町村毎にシェアサイクルやレンタサイクルの実施実態を網羅的に把握する。その結果、シェアサイクルを実施する市区町村は全国市区町村の 19%であり、実施していない県が 7 であった。一方で、レンタサイクルは全ての都道府県で実施されており、市区町村別に見ても全体の 50%で実施していた。シェアサイクル実施市区町村中の 12%は、ポート数が 1-2 箇所しかないという状況にあることがわかった。
  • 岡本 悠希, 小早川 悟, 菅原 宏明, 菊池 恵和
    p. 297-304
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    交通量調査は幹線道路を中心に AI による機械観測による手法が増えているが、生活道路は歩道や中央線が存在しないために幹線道路と比べカメラと車両の位置関係が異なる。そのため、幹線道路で作成した教師データを用いると精度が低下することが考えられる。また、 2 地点においてナンバープレート等の車両情報を照合し経路分析を行う場合には、読み取り誤差が積み重なることでデータ照合の精度が著しく低下してしまうことも考えられる。そこで本研究では生活道路の歩道や中央線の有無の条件ごとの AI 観測の読み取り精度を検証し、それぞれの条件における最適な撮影方法を明らかにした。また、正確に経路分析ができるような車両情報の組み合わせを明らかにすることで、生活道路において AI 画像解析システムを用いる際の最適な調査手法を提案した。
  • 伊勢野 暁彦, 本間 良平, 三室 碧人, 松尾 幸二郎
    p. 305-310
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    愛知道路コンセッション株式会社では、これまで担当者の経験則から属人的に事故対策が実施されていたのに対し、データを適切に可視化し客観的な視点をもって、詳細な事故原因分析、未然防止の観点も含めた対策検討、効果検証を可能とすることを目的に事故対策検討ワーキンググループを立上げた。本ワーキンググループでは、過去の事故データから原因・場所特性などを踏まえ、事故の未然防止対策箇所を選定し、路面・側壁への対策を検討・実施した。さらに、対策効果評価のための走行挙動変化の分析を試みた。計測手段として、クラウドカメラおよび AI 画像計測を導入することで、既存データでは把握が出来なかった走行位置・走行速度の変化を車両別に取得・可視化が可能となり、走行挙動分析による対策効果評価プロセスを実施することが可能となった。
  • 赤羽 弘和, 香取 樹, 上畑 旬也, 大宮 博之, 野中 康弘
    p. 311-318
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    本研究においては、道路に沿って隣接設置された複数のビデオカメラにより、観測範囲と観測精度とを高次元で両立させる車両の走行軌跡推定システムを改良した。まず、追跡点の路面近似三角形への投影と、路面近似三角形からの隔離に対する位置座標の補正を分離することにより、二次元射影変換式を適用して標定点設定を路面上に限定可能とした。また、プローブ車の画面座標値と GPS 測位値とから標定点を設定することにより、路面近似三角形を均等かつ効率的に配置できるようした。高速道路の約 820m の観測区間に 734 の路面近似三角形を設定し、プローブ車の測位結果を基準として平均ユークリッド較差が 0.1m、走行速度の RMSE が 0.5km/h となる精度を達成した。
  • 今井 龍一, 神谷 大介, 山本 雄平, 中原 匡哉, 姜 文渊, 中畑 光貴, 住吉 諒, 高野 精久, 山中 亮, 平野 順俊
    p. 319-323
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    我が国では、自動車交通量調査の効率化・省力化を図るため、動画像を深層学習により解析する調査手法が導入されている。既存研究では、深層学習を用いて車両の部位を識別することで、車種別の断面交通量を高精度に計数できることが明らかにされているものの、フレアや景色の映り込みによる影響で部位の識別に失敗し、車種の判定精度が低下する。そこで、ナンバープレートに記載されている分類番号を活用することで、車種の判定精度の向上が期待できる。本研究では、深層学習を用いて分類番号を認識し,その結果から車種を判定する手法を提案する。実証実験の結果、最高速度 50km/h 以下の道路であれば高精度に分類番号を認識可能であり、車種を判定できた。今後は、画像のボケ度合いから考案手法の適用可否を判定する処理を適用する。
  • 山中 惇矢, 山本 俊行, 小林 栄介, 伴 和徳
    p. 325-330
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/23
    会議録・要旨集 認証あり
    近年では、携帯電話の GPS データや基地局データに加え、画像認識技術の向上により画像から人を検出し、人流を把握することが可能となっている。一方で全国道路・街路交通情勢調査の調査頻度は 5 年に 1 度であり、OD 交通量が次の調査まで更新されない。そのため、上記のような人流データを活用し OD 交通量を逆推定する手法などが実践されている。そこで、本研究は学内で過去に Web アンケート調査を実施した際の OD 交通量を、学内に設置したカメラから人を検出し、集計した人流データを用いて OD 交通量を現在の OD 交通量へと更新する手法を提案する。なお、道路上にカメラを設置しているため、あらゆる方向に人々が移動する。そのため、方向を考慮して人流データを集計することで、高精度に OD 交通量を更新することを実現した。
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