JSTニュース
Print ISSN : 1349-7361
Special Item
ERATO 終了プロジェクト報告 大津局在フォトンプロジェクト
独立行政法人科学技術振興機構
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 1 巻 3 号 p. 2-3

詳細
抄録

従来の光科学技術では光が広がろうとする性質、すなわち回折によりその空間分解能は光の波長程度に制限される。これは回折限界と呼ばれている。この限界のために、たとえば光産業では光デバイス微小化と低消費電力化、光加工寸法の微小化、光ディスクメモリの高密度化などに関して近い将来に原理的限界に達する。これらの問題の解決のために総括責任者の大津はかつてより近接場光を研究しており、その成果を用いて光科学技術のパラダイムシフト、すなわちナノフォトニクスとアトムフォトニクスを提案した。ナノフォトニクスは「近接場光を媒介としたナノ寸法物質間の局所的電磁相互作用を利用してナノ寸法の光デバイスを作製し、動作させる技術」である。近接場光はその寸法依存局在と寸法依存共鳴のために光の回折とは無縁なので、ナノフォトニクスにより回折限界を超えたナノ寸法の光デバイスの加工、動作、集積化が可能となる。アトムフォトニクスは「近接場光を使った原子操作技術」であり、これにより原子寸法での新しい物質の作製が可能となる。本プロジェクトではこれらの研究を推進した。

著者関連情報
© 2003 独立行政法人科学技術振興機構
次の記事
feedback
Top