ウイルス
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Special Issue 3
マリンビルナウイルスの培養細胞における感染機構
大嶋 俊一郎今城 雅之平山 健史
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2005 年 55 巻 1 号 p. 133-144

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抄録

 マリンビルナウイルス(MABV)は,直径約60nmのエンベロープを持たない2分節2本鎖のRNAウイルスである.本ウイルスの分節AにコードされているNH2-preVP2-NS-VP3-COOH前駆体ポリプロテインは,NSプロテアーゼ活性により切断されVP2およびVP3になることが知られている.
 我々は,感染後MABV粒子を産生する感受性のCHSE-214細胞,RSBK-2細胞と粒子を産生しない非感受性のFHM細胞,EPC細胞を用いてMABVの感染機構と細胞内動態について検討している.
 MABVは細胞表面の250kDaのレセプターを介してエンドサイトーシスにより細胞内に侵入することが明らかになった.感染4時間後にはVP2,NSならびにVP3は細胞質画分に検出され,さらに,VP3はCHSE-214ならびにRSBK-2細胞内でプロセシングを受け3つに分断されることを明らかにした.このVP3のN末端側のタンパク質は,ウイルス粒子構築時に重要な役割を果たしている可能性が示唆された.今後,この4つの魚類細胞を用いた感染実験系により,さらに詳細なMABVの感染機構と細胞内動態が明らかになるものと期待される.

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© 2005 日本ウイルス学会
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