ウイルス
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総説
分節2本鎖RNAウイルスにおけるリバースジェネティクス系
河本 聡志谷口 孝喜
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2006 年 56 巻 2 号 p. 183-192

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抄録

 ロタウイルスは,11本の2本鎖RNA(dsRNA)分節をゲノムとして保有するウイルスであり,最も主要な下痢症ウイルスである.リバースジェネティクス系はウイルスゲノムへ任意の変異を導入することで,ウイルスを自由に設計し作製することができ,遺伝子の機能や病原性を理解する上で最も強力な手法である.しかしながら,ロタウイルスを含む10~12本のdsRNA分節をゲノムとするレオウイルス科では,そのゲノム構造の複雑さから開発は長い間,困難を極めていた.しかし,ごく最近,我々は効率がまだ不十分ではあるが,ロタウイルスにおけるリバースジェネティクス系の開発に成功した.ここでは,前半部分で,開発の基礎となったロタウイルスの増殖様式に関する最近の知見をまとめ,後半部分では,分節dsRNAウイルスにおけるリバースジェネティクス系開発の背景と経緯について,ロタウイルスの系も含めてまとめてみたい.

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© 2006 日本ウイルス学会
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