抄録
ヒトサポウイルス(Human sapovirus; HuSaV)の発見から約40年以上を経て,ヒト十二指腸腫瘍由来細胞HuTu80とsupplementとして胆汁酸を加えることにより,HuSaV培養系を確立するに至った.一般的な細胞株に加え,クラシカル培地の使用や培養スケールアップも容易であるなど汎用的な手法となったが,ここに至るに十分なウイルス力価を得るための培養日数や供試サンプル選定のためのウイルス遺伝子保存性確認,HuTu80細胞の継代方法などが重要であった.現在15種のgenotypeについて増殖・ストック作製に成功しており,研究のためのリソースとして安定的確保に至った.これに続き精製抗原による抗血清の作成やその解析,不活性化条件評価を進められるようになった.本稿では培養細胞や胆汁酸の選択経緯や発表後のトピックを紹介するとともに,細胞変性の顕在化や糞便由来HuSaVのUV-C低感受性に関する解明など,今後の課題も提起する.