VIRUS
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膿病ウイルスの免疫学血清学的研究
III. 家蚕膿病の感染防禦に関する二三の実験
鮎沢 啓夫
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1954 年 4 巻 3 号 p. 245-248

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抄録

1. 膿病蚕血液上清免疫家兎血清を蛹に注射したのち種々時間にウイルスで攻撃したが被働免疫は成立しない.
2. ウイルス接種後種々の時間にまた回数をかえて上記免疫血清を注射して血清療法を行つたが成功しなかつた.
3. ウイルスを50℃或は60℃に加熱すると活性は著しく低下しまた蛹は加熱しても膿病の発生はみられないので, ウイルス階段稀釈液を蛹に接種したのち直ちに50℃ 15分処理したが稀釈ウイルス液の場合でも加熱による療法は成功しなかつた.
4. ペニシリン (900u/ml及び9000u/ml). ストレプトマイシン (953mcg/ml) 水溶液とウイルスを等量に混合し室温30分放置したのち蛹に接種したが潜伏期間の延長, 発病蚕数の減少はみとめられなかつた.
5. 病毒血液上清を材料としてフオルマリンワクチンを調製しこれを接種したのちウイルスで攻撃した. この場合ワクチンを接種したとぎからウイルスで攻撃するまでの時間. ワクチン接種回数をかえて検討したがワクチン接種による予防効果をみとめた.
6. 被働免疫, ワクチン実験, 血清療法等の結果をみると昆虫においてウイルス免疫は細菌免疫の場合とかなり趣を異にしているものと思われる.

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