1961 年 11 巻 6 号 p. 361-366
1. 合成培地中で全菌にT3を感染させ, その示す反応を生化学的に調べる方法を確定した. この条件ではファージは12分頃から菌体内で増殖を始める.
2. T3ファージ抗原蛋白の増加の様子を時間的に調べたところ前者はファージ増殖開始後5分頃から, 後者は0分から直ちに合成が始まるが, それ以降は溶菌により蛋白合成が停止する迄両者が共存的に合成され続けた. 非ファージ抗原性蛋白はColiタイプ蛋白とデンプンゾーン電気泳動では区別がつかなかつた.
3. T3感染菌の核酸合成をその速度, 代謝的安定性の面からみるとColiタイプだが, RNAの顆粒への分布, β-2-チエニルアラニンの阻害作用の受け方はファージ感染タイプであつた.
4. これらのふるまいはT3感染菌の合成反応にもT3のsemitemplate性が反映していると考えて説明された.
研究費の一部は文部省科学研究費によつた.