抄録
ヘルペスウイルスに対するIDUの抑制効果を定量する方法として3つの方法を比較した. 第1は角チューブ培養HeLa細胞におけるウイルスのCPEの発現阻止を目標にする方法で, これによるとIDU濃度約0.001%まで抑制効果が見られた. ただしIDUは0.025%以上で単独でもHeLa細胞に変性を起すので, 薬剤の細胞毒性を見るには不適である. 第2の方法はニワトリ胎児細胞におけるウイルスプラック減少を測定する法で, これではIDU 0.01%まで効果を現したが0.001%では全く効果が見られなかつた. 第3はペニシリンカップを用いてウイルス感染ニワトリ胎児細胞上の重層寒天内に薬剤を拡散させプラック阻止環を作らせる方法で, 薬剤拡散のために20℃ 2日間培養後通常の方法でプラックを作らせた所, IDU約0.001%まで濃度対数に比例する直径の阻止環が現われた.
最後の方法が極めて簡便なるのみならず, また感度でも他に劣らないので, 新合成抗ウイルス剤のスクリーニングの法として最適と考え, 数種のチミジン誘導体を使つて実際にプラック減少測定法と較べてその点を確認した. ただし, 細胞毒性検査は別に角チューブ培養ニワトリ胎児細胞のごときものを用いて調べる必要がある.