抄録
HIV integrase (IN) の機能を調べるために, INに対するマウス単クローン抗体を6クローン選択した。このうち1つの単クローン抗体 (MAb2-19) から, 単鎖抗体遺伝子を作製した。この遺伝子を用いて, 単鎖抗体 (scAb2-19) を HeLaCD4細胞内に発現させたところ, この細胞はHIV-1の新規感染に対して低いMOIでは抵抗性となった。この抵抗性は, 細胞内scAb2-19が, 感染前期過程・後期過程の両過程を阻止することによって達成された。scAb2-19のC端末にVprまたはVpr結合ペプチド (WXXFモチーフ) を融合させたところ, ウイルス粒子に効率よく取り込まれ, ウイルスの感染性をおよそ1000倍低下させた。