ウイルス
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いま, なぜ不活化ポリオワクチンが必要か?
橋爪 壮
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2001 年 51 巻 1 号 p. 101-104

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抄録
1991年ペルーの患者を最後に野生株ポリオによるポリオ患者の発生を見ず, 1994年南北アメリカ地区 (Americas Region) はポリオ患者0の宣言をした. また2000年10月には京都で開かれた西太平洋地区 (Western Pacific Region) 会議でポリオ・フリー宣言が出されたことはご承知のことと思う.
1988年に2000年を目標にスタートしたWHOのポリオの撲滅計画はこれまでのところ順調に進展し, ヨーロッパ地区 (Europe Region) も旧ソ連を含め1998年以降は患者発生0を記録している. 1988年には全世界で野生株によるポリオ患者の報告数は350,000例あったが, 2000年には99%減少し, 約2,600例となっている.
経口生ポリオワクチン (OPV) の使用でWHOの撲滅計画も順調に進展しているのにいまさら不活化ポリオワクチン (IPV) を導入する理由はなんだろうかという疑問をもたれる方もあろうかと思う. この疑問に答えるために生ポリオワクチンの利点と欠点について述べ, 不活化ポリオワクチンの必要性について説明してみたい.
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