抄録
呼吸困難を主訴に来院した猫2例に胸水貯留が認められ,心臓超音波検査によりCaval syndromeと診断した。1例は,頚静脈からstring-type horsehair brushを用いて吊り出しを実施できたが,もう1例は左右頚静脈からの挿入が不可能であったため,右側開胸による流入遮断法を併用した右心房切開術により虫体摘出を実施した。術後2例とも胸水の貯留は速やかに改善されたが,1例は約5カ月後に死亡し,もう1例は現在も良好に経過している。猫の胸水貯留の鑑別診断にCaval syndromeも考慮する必要性が示唆された。