動物の循環器
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症例報告
右室二腔症に心室中隔欠損症を合併した犬の1例
石川 泰弘 萩尾 光美
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2016 年 49 巻 2 号 p. 63-68

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抄録

右室二腔症(DCRV)は,右室が異常筋束によって二分される先天性心疾患である。今回,DVRVに心室中隔欠損症(VSD)を合併した3カ月齢の柴犬に遭遇した。第1病日より塩酸テモカプリル(SID)の投与を開始したが,第60病日には心拡大が認められたためBIDに変更した。第78病日より運動不耐性が認められるようになったため低用量ピモベンダンを開始したところ,症状は改善したが検査上の数値が悪化したため,ピモベンダンを中止した。第190病日には胸水貯留が認められたため,カルベジロールとフロセミドを追加したが,第213病日に斃死した。剖検では,心臓は右心系を中心に著しく拡大していた。右室には肉柱部から流出路にかけて異常筋束が認められ,これが前乳頭筋に近接することにより右室に狭窄を形成していた。一方,VSDは膜性部の近傍に位置し,低圧右室に開口していた。

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© 2016 日本獣医循環器学会
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