抄録
心室中隔欠損を伴う大動脈弁下狭窄を有する1例のネコについてその臨床像および病理形態学的所見を報告した。
本例は呼吸困難,頻脈,肝腫大,腹水が認められ,胸部両側で収縮期雑音が聴取された。胸部X線では著しい心拡大(心胸郭比80%)と胸水の貯留がみられ,心電図およびベクトル心電図所見から右室優性の両室肥大と両心房肥大が認められた。
左室流出路は大動脈弁の約2mm下方で狭窄しており,直径約2mmであった。この狭窄は線維性膜様物と心室中隔に付着した僧帽弁前尖によって形成されていた。なお心室中隔の欠損は直径約2mmであった。