2004 年 17 巻 1 号 p. 55-62
JR東京総合病院は急性期医療を担う総合病院である。リハビリテーション科では1990年より脳血管障害者の復職支援を行ってきた。ここ数年、作業療法の対象に働き盛りの30~50代の脳血管障害者が増加し、復職へのニーズが切実となっている。しかし、昨今の社会不況のため雇用条件は厳しく、復職困難例が増加している。更に、病院に求められる役割が変化し、急性期の病院では平均在院日数の短縮化が必須である。そこで、改めて脳血管障害者の復職支援に必要とされる院内OTの役割を、「復職した脳血管障害者の聞き取り調査」を基に検討した。その結果、院内OTの役割は急性期から将来の状況を見据え、障害当事者には今後の人生について意思決定できるよう、機能回復訓練、ADL訓練、退院後の生活の安定、社会制度についての知識や情報を与え、一方OTは、職場との調整等、他職種と連携して関わることが重要であることを再確認した。