水環境学会誌
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原著論文
沖縄本島の富栄養化湖沼におけるピコ植物プランクトン群集の周年変化
平塚 智子須田 彰一郎
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2011 年 34 巻 8 号 p. 103-108

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抄録

沖縄県中南部に位置する富栄養化湖沼の千原池において,ピコ植物プランクトンの細胞数密度の季節的変動を周年観測し,物理化学的環境要因と生物的環境要因からピコ植物プランクトンの変動要因を明らかにした。千原池のピコ植物プランクトン群集内では藍藻類が優占し,細胞数密度が高い値で検出された(7.52×103~1.03×107cells・mL-1)。物理化学的環境要因との関係から,細胞数密度は水温と弱い正の相関が見られた。とくに水温が25℃以上で高い密度が観察された。栄養塩類との関係から,本池のピコ植物プランクトンの細胞数密度の増殖に栄養塩類は制限要素となっていないことが分かった。さらに大雨後には赤土の流入により濁度が高い値を示していたが,細胞数密度との相関関係は認められなかった。本池では栄養塩類よりも水温がピコ植物プランクトンの細胞数の変動に強く影響を及ぼしていることが明らかになった。

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© 2011 公益社団法人 日本水環境学会
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