水環境学会誌
Online ISSN : 1881-3690
Print ISSN : 0916-8958
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ノート
  • 安達 真里花, 安達 竜太, 安藤 浩美, 縄司 奨, 関 雅範, 屋形 直明
    原稿種別: ノート
    2019 年 42 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル フリー

    半導体及び液晶パネルの製造工程で主に使用されている水酸化テトラメチルアンモニウム (TMAH) は, 水質汚濁防止法に基づく排水規制の対象外であり, 環境中への放出が否定できず水生生物への影響が懸念される。ゆえに本研究では, 水生生物の保全に向けたTMAHの排水管理目標値を設定するため, ニセネコゼミジンコによる繁殖試験及びゼブラフィッシュによる胚・仔魚期短期毒性試験を実施した。その結果, ニセネコゼミジンコ及びゼブラフィッシュに対する最大無影響濃度はそれぞれ0.0158及び500 mg L-1であり, ニセネコゼミジンコが高い感受性を示した。TMAHが事業場から公共用水域へ直接排出される場合, 公共用水域における事業場排水の希釈率を10倍と仮定すると, 排水中のTMAH濃度は水生生物の保全を考慮して概ね0.158 mg L-1以下に管理する必要があると考えられた。

技術論文
  • 古川 斐人, 幡本 将史, 日下 潤, 川又 睦, 森 正人, 帆秋 利洋, 山口 隆司
    原稿種別: 技術論文
    2019 年 42 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル フリー

    海洋生物飼育水中の窒素除去を目的として開発した硝化DHS槽と脱窒USB槽による処理水循環型システムにおいて, 硝化DHS槽に用いるスポンジ担体の種類を比較検討した。硝化DHS槽は飼育水中のアンモニア態窒素と亜硝酸態窒素をそれぞれ0.08 mg-N L-1, 0.05 mg-N L-1の低濃度に維持し, 無曝気で平均溶存酸素濃度6.17 mg L-1を飼育水中で維持可能であった。3種類のスポンジ担体を検討した結果, 最も目の細かいスポンジ担体を充填した硝化DHS槽が, 他2種のスポンジ担体と比較して約1.3倍硝化速度が速く, 汚泥濃度増殖も高かった。保持汚泥中の微生物群集解析の結果では, 最も目の粗いスポンジ担体においてアンモニア酸化古細菌および亜硝酸酸化細菌の存在割合が最も高くなった。

  • 小林 憲弘, 土屋 裕子, 堀池 秀樹, 増田 潤一, 五十嵐 良明
    原稿種別: 技術論文
    2019 年 42 巻 1 号 p. 13-25
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル フリー

    水道水中の農薬は, 検査対象項目数が多く検査方法が多岐にわたっており, 検査の労力が非常に大きいことから, 水道水をLC/MS/MSに直接注入して一斉分析する方法を検討し, 141農薬の一斉分析条件を確立できた。さらに, 一斉分析条件が確立できた農薬について水道水への添加回収試験を行い, その分析精度について評価を行った。その結果, アスコルビン酸ナトリウムおよびチオ硫酸ナトリウムのどちらの脱塩素処理剤を用いて残留塩素を除去した場合も, 目標値の1/100の添加濃度において126農薬が定量可能であり, そのうち120農薬について良好な検査精度が得られたことから, 本分析法はこれらの農薬の水道水質検査に適用可能と考えられる。ただし, 一部の農薬については, 添加した脱塩素処理剤により試験結果に違いが見られため, 残留塩素を除去して検査する場合には, 検査対象農薬によって脱塩素処理剤を適切に選択する必要がある。

調査論文
  • 鈴木 準平, 中野 大助, 今村 正裕, 藤田 昌史
    原稿種別: 調査論文
    2019 年 42 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル フリー

    ストレス応答物質を用いた環境モニタリングは, 河川での適用例が少ない。河川の生物への適用に際し, ストレス応答物質の自然変動を明らかにすることが重要である。本研究では, 河川に生息するシマトビケラ属の幼虫を対象に, 個体サイズと季節変化 (2016年2月, 5月, 8月, 10月) がストレス応答物質に与える影響を調べた。個体サイズは, 湿重量に応じて4つのクラスに分類した。その結果, 抗酸化酵素の1つであるカタラーゼは, 大きいクラスほど高い傾向を示した。また, カタラーゼと総抗酸化力は, 湿重量との有意な相関が示された。一方, 同じサイズクラスを対象に季節変化を調べたところ, カタラーゼや総抗酸化力, 酸化ダメージが異なる応答を示した。また, 出水直後の調査であった, 8月については, 酸化ダメージである過酸化脂質が低く, シマトビケラ属は出水によるストレスによって生じた活性酸素種を十分に除去できていたことが示唆された。

  • 永淵 修, 中澤 暦, 篠塚 賢一
    原稿種別: 調査論文
    2019 年 42 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル フリー

    上流域に自衛隊の射撃場を持つ, ため池の鉛汚染について, その起源を特定する方法を検討した。鉛は各鉛鉱山によりその安定同位体比が異なることが知られている。そこで, 射撃場を含む流域内の堆積物と土壌を採取し, その鉛同位体比を基に起源を検討した。その結果, 射撃場の影響下にある土壌・堆積物とその影響を受けないものでは鉛同位体比が異なっていた。さらに, 銃弾に使用されている亜鉛, 銅と鉛の組成比からD.I. (Distance Index) を計算し, D.I.値を用いてクラスター分析を行ったところ射撃場の影響を受けた地点と受けてない地点ではD.I.の値が大きく異なり, クラスターも二つに分離された。したがって, 土壌・堆積物の鉛汚染の起源を特定する方法として, 鉛同位体比を含めた金属組成比によるD.I.およびクラスター分析等の結果を統合する解析法は, 鉛汚染の起源推定の確度を上昇させる優れた手法であることを確認した。

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