水環境学会誌
Online ISSN : 1881-3690
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研究論文
  • 池田 将平, 一瀬 諭, 古田 世子, 占部 城太郎
    原稿種別: 研究論文
    2018 年 41 巻 5 号 p. 115-122
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/10
    ジャーナル フリー

    琵琶湖における植物プランクトン群集については, その長期変動が解析されているが, これらのほとんどは群集全体の経年変化に注目したものであり, その季節的消長, いわゆるプランクトンカレンダーが長期的にどのように変化してきたかは, 十分に解析されていない。本研究では琵琶湖北湖における1978年から2014年までの植物プランクトン分類群の生物量からBray-Curtis類似度指数を用いて季節的消長の類型化を行い, 植物プランクトンの季節変化パターンをPEG (Plankton Ecology Group) モデルと比較することで, 琵琶湖における水質の長期変動と植物プランクトン季節変化の変化応答について検討した。その結果, 植物プランクトンの季節変化パターンが特異的な変化を察知するだけでなく, 栄養塩濃度などと併せて琵琶湖の栄養状態や水質を評価する感度の高い指標としても有用であることが明らかとなった。

技術論文
  • 増子 沙也香, 鈴木 準平, 藤田 昌史
    原稿種別: 技術論文
    2018 年 41 巻 5 号 p. 123-128
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/10
    ジャーナル フリー

    ヤマトシジミを用いて摂餌実験, 排泄実験, 呼吸実験を行い, 摂餌炭素量, 排泄炭素量, 呼吸による排出炭素量をTOC計のみで測定し, 成長に利用可能な炭素量 (成長力) を簡便に評価する手法を検討した。摂餌実験では, ヤマトシジミをプランクトンネットに入れて擬糞の排出量を見積もることにより, TOCをもとに真の摂餌量を評価することができた。排泄実験では, ヤマトシジミの排泄物からの炭素溶出を無視し得る条件とすることで, POCをもとに排泄量を評価することができた。呼吸実験では, 餌源である培養珪藻類の呼吸量に留意したうえで, サンプルへのCO2混入を防ぐことで, DICをもとに呼吸量を評価することができた。本手法を5, 10, 20 psuの塩分に曝したヤマトシジミに適用したところ, 5 psuでは成長力が相対的に大きく, 20 psuでは逆に小さく見積もられた。高塩分では成長が抑制されるという既存の知見と対応が見られた。

  • 西岡 亨, 本田 大士, 舞原 文女, 佐々 友章, 本多 泰揮, 石川 百合子, 森田 修, 山根 雅之
    原稿種別: 技術論文
    2018 年 41 巻 5 号 p. 129-139
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/10
    ジャーナル フリー

    化学物質の全国暴露状況の把握において, 汎用的かつ高精度な暴露解析モデルの利用が不可欠である。本研究では, 暴露解析モデルの活用指針に繋がる知見を得る為, 産総研-水系暴露解析モデル (AIST-SHANEL) Ver.3.0を用いて, 5種類の界面活性剤を対象に河川水濃度の推定性能を評価した。また, 化学物質の土壌吸着性に関わる有機炭素水分配係数 (Koc) と, 化学物質の流出特性を示す水路底泥の負荷流出係数 (掃流係数) の推定性能への影響を確認した。その結果, Kocが小さい (1×103 L kg-1 オーダー) 界面活性剤は掃流係数30 m-1程度, Kocが大きい (1×105~6 L kg-1 オーダー) 界面活性剤は300~1000 m-1程度で, 良好な推定性能を示した。化学物質のKoc値に従って適切な掃流係数を設定することで, 本モデルは様々な化学物質の暴露評価に利用可能と考えられる。

調査論文
  • 米山 由紀, 馬籠 純, 風間 ふたば
    原稿種別: 調査論文
    2018 年 41 巻 5 号 p. 141-149
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/10
    ジャーナル フリー

    適切な森林・水源域管理のため, 大気中の窒素動態とその森林への降下に関する理解が望まれている。本研究では, 甲府盆地域 (4地点, 2012年5月~2013年3月) とその北部縁辺部 (3地点, 2010年4月~2013年3月) の降水中の硝酸性窒素を観測した。その結果, 硝酸性窒素降下量は夏季に多く, 降水中の硝酸の窒素・酸素安定同位体比値は大気由来の硝酸の範囲内であることが明らかとなった。特に, 盆地北部縁辺部に位置する地点のうち荒川扇状地扇頂部とその上流の地点では, 周辺が山林・畑地にもかかわらず, 硝酸性窒素降下量が市街地である盆地内を大きく上回り窒素飽和の目安を超過していたが, 同じ北部縁辺部で東南に約5 km隔てた甲府駅北側付近では, 同様の状況は見られなかった。この地点間の違いは, 盆地で発生した窒素酸化物の移流に卓越風・山谷風といった大気の流れを引き起こす対象地域の地形・微気象が関連していると推察された。

  • 楠 賢司, 坂田 昌弘
    原稿種別: 調査論文
    2018 年 41 巻 5 号 p. 151-157
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/09/10
    ジャーナル フリー

    中海の過去約100年間における富栄養化の歴史トレンドに関する知見を得るため, 湖内の2地点から採取された柱状堆積物について全有機炭素 (TOC) , 全窒素 (TN) , 全硫黄 (TS) 及びモリブデン (Mo) 濃度の鉛直分布を調べた。堆積物中のTOC及びTNは主に植物プランクトンに由来し, それらの濃度は1950年頃より急激に増加した。堆積物表層 (0-2 cm) のTSの大部分は硫化物であることから, 堆積物表面付近で硫化物が大量に沈積していることがわかった。そこで, 硫化物の生成は大部分が堆積物上層 (0-10 cm) で起こると仮定すると, TS濃度の鉛直分布は, 1950年代以降で有機物生産量が増大したことにより湖底付近の貧酸素水塊が拡大し, 堆積物内での硫化物の生成量が年々増加してきたことを示唆する。Mo濃度の鉛直分布は, TS濃度に類似しており, 中海における有機物生産量の経年変化に関係付けられることがわかった。

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