水環境学会誌
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技術論文
  • 福嶋 俊貴, 西村 文武
    原稿種別: 技術論文
    2026 年49 巻 p. 1-7
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/01
    ジャーナル フリー

    下水処理場の能動的管理による窒素供給増加とGHG排出量削減を目指して, 下水処理場機能評価システム (PES) を使用し, 処理能力74,400 m3-1の処理場を対象に電力自給率やCO2オフセット率で評価した。能動的管理では1月の窒素供給濃度が21.2 mg L-1で最も高かったが, 窒素供給濃度の増加は2.6 mg L-1に留まっていた。一方で, 硝化抑制運転による曝気風量の削減効果は大きく送風倍率は3.2倍と5割近くまで低下し, 使用電力量も2割近くの低減に繋がった。電力自給率では消化ガス発電の導入により電力自給率は54%と計算され, 能動的管理では58%へ4ポイント増加し, 窒素をバイオマスとして回収すると電力自給率は81%まで向上した。GHG排出量削減では消化ガス発電の導入ではCO2オフセット率は45%と計算され, 能動的管理を適用すると49%となり, 窒素をバイオマスとして回収すると55%まで上昇した。更なる施策の追加でCO2オフセット率は96%まで上昇することが期待され, 下水処理場のポテンシャルの高さが確認できた。

ノート
  • 大島 詔
    原稿種別: ノート
    2026 年49 巻 p. 9-17
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/10
    ジャーナル フリー

    専用水道や公衆浴場等の現場ではブロモチモールブルー (BTB) やフェノールレッド (PR) による指示薬でpHが測定されることがあるが, 指示値が電極法と著しく乖離する例が確認された。本研究ではxy色空間を用いた定量的な方法で先行研究の乏しい遊離残留塩素のpH指示薬に対する影響について検討した。BTBとPRの指示値は遊離残留塩素の影響でそれぞれ酸性側, アルカリ性側へと偏り, BTBはおそらく試薬の酸化, PRは塩素化によるクロロフェノールレッドへの化学変化がその理由として考えられた。しかし指示薬は変化後も変色域内または近しい呈色のため誤った指示値が可読であることが電極法と値が乖離する原因であった。指示薬変化の対策として0.07 mol L-1チオ硫酸ナトリウムによる遊離残留塩素消去の有効性を実験室および現場で検討し, 添加量が検水容量の0.5%までであれば測定値への影響は認められないことがわかった。

調査論文
  • 秋山 諭, 田中 咲絵, 中嶋 昌紀
    原稿種別: 調査論文
    2026 年49 巻 p. 19-26
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/10
    ジャーナル フリー

    本研究では, 大阪湾南部における水温・塩分の長期変動を明らかにするため, 1992~2023年の32年間にわたり収集された定置観測データを解析した。水温・塩分の季節変動, 長期トレンド, および気象要因との関連性を検討した結果, 春季の水温上昇が顕著であり, 特に水温15 ℃を超える時期が年々早期化していることが判明した。一方で, 年間最低・最高水温やその記録日には顕著な変化は見られなかった。また, 水温・塩分の短期的な変動は, 降水量などの気象要因の影響を強く受けるとともに, 紀淡海峡を通じた外海水の流入により顕著に変化することが示された。本研究の成果は, 大阪湾の海洋環境変動の理解を深めるとともに, 水産資源管理や養殖業への応用が期待される。

研究論文
  • 鈴木 元治, 藤原 建紀, 中谷 祐介, 鹿島 千尋
    原稿種別: 研究論文
    2026 年49 巻 p. 27-36
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/30
    ジャーナル フリー
    電子付録

    大阪湾表層水について, 粒状有機炭素 (POC) と溶存有機炭素 (DOC) の分解過程を最大100日間の生分解実験により調べ, POCとDOCの分解速度及び分解時間を求めた。POCは実験20日までに迅速に生分解されるのに対し, DOCは50日が経過しても多くが残存した。生分解実験中のPOCからDOCへの正味の移行は, ほとんどみられなかった。20 ℃におけるPOCの平均分解速度は0.12 day-1 (平均分解時間8.5 day) であった。塩分を用いて外海起源DOCを求め, DOCから外海起源DOCを除いたものを内部生産等DOC (海域及び陸域起源) とした。これに, 難分解性と準易分解性の2成分モデルを当てはめ, 準易分解性成分の分解速度を求めた。採水の場所及び時期 (季節) によらず, 内部生産等DOCのうち48%が難分解性であり, 残りの52%が平均分解速度0.031 day-1 (平均分解時間32 day) の準易分解性であった。

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