水環境学会誌
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最新号
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研究論文
  • 岩渕 勝己, 鑪迫 典久
    原稿種別: 研究論文
    2018 年 41 巻 4 号 p. 61-71
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/10
    ジャーナル フリー

    有機フッ素化合物 (PFAA) は, 環境残留性や蓄積性が世界的に問題となっている。本研究では, メダカ (Olyzias latipes) , その生息地点の環境水, 底質を採取して15種のPFAA濃度を分析し, 環境中の存在状況と生物濃縮を明らかにすることを目的とした。各サンプルから検出されるPFAA濃度は採取地点により異なるが, 組成比はほぼ一定していた。メダカへの生物濃縮係数 (BCF) と, PFAAのオクタノール/水分配係数 (Log Kow) との間には相関が見られた。環境水と底質のPFAA濃度は, 底質の乾燥重量あたりよりも強熱減量 (IL) あたりの濃度で比較した方が良好に相関しており, 底質とメダカでも同様であった。底質のILあたりのPFAA濃度, 性別, 体長からメダカへの蓄積量を重回帰分析により推定したところ, 底質のILあたりのPFAA濃度がメダカへの蓄積に有意に関連していた。

  • 鈴木 祐麻, 加古山 怜, 渕上 水葵, 新苗 正和
    原稿種別: 研究論文
    2018 年 41 巻 4 号 p. 73-81
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/10
    ジャーナル フリー

    重金属類による土壌汚染は我が国における深刻な環境問題であり, 地下水汚染の要因となっている。本研究では, 代表的な土壌汚染物質である鉛およびカドミウムを対象として, 天然のキレート剤であるデフェロキサミン B (DFOB) がこれらの重金属のカオリナイトへの収着, そしてこれらの重金属により汚染されたカオリナイトを酸化マグネシウムの混合により不溶化処理した際の不溶化効果に与える影響を評価した。その結果, 酸化マグネシウムを混合した土壌が示すアルカリ領域ではカオリナイトへの吸着性が低い中性の錯体が形成されるため, DFOBにより鉛およびカドミウムのカオリナイトへの収着性が低下することが分かった。そして, 酸化マグネシウムを混合することにより不溶化処理を行ったカオリナイトを用いて溶出試験を行った結果, DFOBは酸化マグネシウムによる鉛およびカドミウムの不溶化効果に負の影響を与えることが確認できた。

  • 秋山 諭, 中嶋 昌紀
    原稿種別: 研究論文
    2018 年 41 巻 4 号 p. 83-90
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/10
    ジャーナル フリー

    調査船による月例観測では, 年による観測日の違いにより, その水温データには経年変動だけではなく季節性が包含されるため, データの取り扱いには注意を要する。本研究では, 大阪湾で実施された1981~2010年の月例定点観測データをもとに, 調査日を補間する連続的な平年値の算出および平年偏差の標準化を試み, 気象との比較や長期変動について解析した。平年値は2月中下旬, 8月中下旬に極値を持つフーリエ級数で表すことができ, 太陽放射および気温との位相差はそれぞれ約57日, 約20日であることが明らかとなった。平年偏差の長期変動については, 線形トレンドは有意ではなく, 1993年11月にジャンプによる水温上昇が検出された。水温ジャンプは, 冷水性・暖水性魚類の漁獲量に影響を与えることが示唆された。

ノート
  • 辻谷 睦巳, 相﨑 守弘, 神門 利之
    原稿種別: ノート
    2018 年 41 巻 4 号 p. 91-96
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/10
    ジャーナル フリー

    カビ臭発生藻類Coelosphaerium sp.がヤマトシジミの生理活性及びカビ臭着臭へ与える影響を明らかにすることを目的に, カビ臭が発生した2009年に, 宍道湖から採取したヤマトシジミを用いてろ過速度, 肥満度の変化及び砂抜きによる体内のgeosmin含有量とChl.a含有量を調べた。その結果, 4月~5月及び9月~12月にCoelosphaerium sp.が増加し, カビ臭が発生した。Coelosphaerium sp.が優占した春季にはろ過速度の低下が見られた。肥満度は秋季に低下した。カビ臭発生時に優占したCoelosphaerium sp.を含む藍藻類をヤマトシジミが取り込み, それに伴って生理活性を低下していることが推測された。また, カビ臭発生初期では砂抜きによってカビ臭はなくなり, 身にはほとんどgeosminが検出されなかったことから, 体内に取り込まれたCoelosphaerium sp.の中のgeosminによってカビ臭がしていたと推測された。しかし, カビ臭が2ヵ月程度続くと, 砂抜きによるgeosmin含有量の減少割合は低くなり, 徐々にgeosminが身へ移行したと推測された。

調査論文
  • 田中 優希, 矢口 淳一
    原稿種別: 調査論文
    2018 年 41 巻 4 号 p. 97-105
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/10
    ジャーナル フリー

    青森県八戸市の東側に位置する蕪島海水浴場は, 近年糞便性大腸菌群濃度が高く一時遊泳禁止措置がとられることもあった。糞便汚染の原因を解明するため本研究では2014年5月から2年7ヶ月間指標細菌濃度をモニターすると共に, 汚染源に特異的な4つの遺伝子マーカーを使用してリアルタイムPCRによる遺伝子マーカー濃度の測定を行い, 汚染源の追跡を実施した。糞便性大腸菌群数は, 2014年5月2日に1.04×103個 100 mL-1と水浴場基準を超える値を示し, 2015年5月にも9.00×102個 100 mL-1に達していた。蕪島海水浴場の指標細菌数は春に増加し, 7月以降減少して海水浴シーズンには水浴可能のレベルとなっていた。糞便汚染の原因を解明するため使用したヒト, ブタ, ウシ, ウミネコの糞便汚染を特定する4つの遺伝子マーカーHF183, Pig-2-Bac, Rum-2-Bac, 及びCat998は, 下水とそれぞれの糞便を用いた試験結果よりそれぞれ90~100%の感度と80%以上の特異度を示し, これらのマーカーの有用性が検証できた。蕪島海水浴場における4つの遺伝子マーカーの検出状況をリアルタイムPCRで調査したところ, 遺伝子マーカーHF183, Cat998の濃度は大きく年間変動し, HF183は5月に最も濃度が高く, Cat998も5月から7月にかけて濃度が増加しその後減少した。ブタとウシの糞便汚染を示すマーカーPig-2-BacとRum-2-Bacは検出されなかった。遺伝子マーカーによる4つの汚染源の検討結果から, 蕪島海水浴場の糞便汚染の原因は, ヒトとウミネコの糞便によると推定される。

  • 牛島 大志, 田中 周平, 鈴木 裕識, 雪岡 聖, 王 夢澤, 鍋谷 佳希, 藤井 滋穂, 高田 秀重
    原稿種別: 調査論文
    2018 年 41 巻 4 号 p. 107-113
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/10
    ジャーナル フリー

    近年, マイクロプラスチック汚染が世界中で注目を集め, 生態系への悪影響が懸念されている。マイクロプラスチックとは粒径5 mm以下のプラスチック粒子である。本研究では日本内湾5ヶ所および琵琶湖における魚7種を対象とし, その消化管中の粒径100 μm以上のマイクロプラスチックの存在実態の把握を目的とした。魚197匹中74匹から140個のマイクロプラスチックが検出され, すべての地点でその存在が確認された。魚1匹あたりから検出されたマイクロプラスチック数は平均1.89個であり, その大半がポリプロピレン (40.7%) とポリエチレン (35.0%) であった。平均粒径の中央値は543 μmであった。摂食方法別にろ過摂食魚類とろ過摂食以外の魚類に分類すると, 前者97匹中54.6%, 後者100匹中21.0%からマイクロプラスチックが検出された。摂食方法によるマイクロプラスチックの誤飲量への影響が示唆された。

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