住宅地の道路排水中の重金属および窒素について形態別に調査を行った。住宅地における道路排水中のNi,Cu,Pb濃度は,幹線道路や高速道路における既報値と比較して低い値を示す傾向があり,交通量の大小が影響していると推測された。一方,ZnとNO3-Nについては,既報の範囲内にあり,交通量以外の因子がZn,NO3-Nに影響を及ぼしている可能性が推察された。道路排水による重金属負荷は,NiとPbでは懸濁態が優占的であったが,CuとZnは懸濁態と溶存態で同程度の割合であった。窒素負荷は,道路排水中の全無機窒素に占めるNO3-Nの割合が80±11%と高かった。道路排水による重金属および窒素負荷量は先行晴天期間の影響を受けており、先行晴天期間が長くなると大気の寄与が大きくなる傾向が見られた。道路排水の重金属と窒素負荷に対する起源寄与を比較すると,重金属負荷は窒素負荷より路面の寄与が大きい傾向が見られた。