水環境学会誌
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調査論文
石炭灰造粒物により全面覆砂をした中海浚渫窪地の栄養塩・硫化水素溶出速度の評価
桑原 智之須崎 萌実樋野 和俊安野 孝生木戸 健一朗前野 真一
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2016 年 39 巻 4 号 p. 127-135

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抄録

中海細井沖浚渫窪地を対象に石炭灰造粒物の全面覆砂による窪地内水質への影響と栄養塩・硫化水素の溶出抑制効果を検証した。直上水のNH4-NとPO4-P濃度は窪地中央部では全面覆砂後に低下したが, 依然として夏季には高い濃度で推移した。一方, H2S濃度は地点間に差はあったが, 覆砂前に比べて濃度の低下傾向が確認できた。チャンバー実験より, NH4-N, PO4-P, H2Sの平均溶出速度はそれぞれ267 mgN m-2 day-1, 35.0 mgP m-2 day-1, 227 mgS m-2 day-1であり, 覆砂後2年間の溶出削減率はそれぞれ約14%, 約22%, 約88%であった。浚渫窪地への石炭灰造粒物による全面覆砂では, 栄養塩の溶出抑制効果は低かったが, H2Sの溶出抑制に効果は高く, 石炭灰造粒物上に堆積物が存在する状態においても2年程度はその効果を維持することが明らかになった。

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© 2016 公益社団法人 日本水環境学会
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