抄録
本研究の目的は, 岩国市地先海域において台風によるアマモ場消失後の回復特性の把握と, 旧航路帯の埋め戻しによるアマモ場の自立的再生の検証である。アマモ場は, 台風による消失後, コアマモ (Zostera japonica Aschers. et Graebn.) からなるアマモ場が今津川河口干潟を中心に形成され, その後, アマモ (Zostera marina L.) の出現に伴って分布が拡大し, 面積が急増した。埋め戻し場所では, 光, 砂面変動及び粒度組成が3~4年を経過してアマモの生育が可能な環境となった。また, 移植や播種を行っていないが, アマモとコアマモが出現し, アマモの花枝も確認された。アマモとコアマモは, 天然生育基盤と同様, 増加の傾向にあり, 分布状況も同様であった。これらのことから, 当海域でのアマモ場の回復は, 今津川河口干潟でのコアマモの出現に始まり, アマモの加入による周辺海域への分布拡大に伴って急速に進むと考えられた。また, 旧航路帯の埋め戻しによって, 移植や播種をしなくても自立的なアマモ場の再生が可能と思われた。