水環境学会誌
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技術論文
貝殻片を利用した低コストで環境負荷の少ない海成堆積物中重金属類の長期汚染リスク対策手法の開発
石山 高八戸 昭一濱元 栄起
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2017 年 40 巻 6 号 p. 235-245

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抄録
近年, 海成堆積物由来の土壌汚染が日本各地で発生している。黄鉄鉱 (FeS2) を含む海成堆積物は, 長い期間大気中に放置されると徐々に酸性土壌へと変化し, そこからは様々な有害重金属類 (鉛, カドミウム, ヒ素など) が溶出する。本研究では, アルカリ性の天然素材 (ホタテ貝の貝殻片) を用いた海成堆積物中重金属類の低コスト・低負荷型汚染対策手法を開発した。貝殻片は黄鉄鉱の酸化抑制剤として有効であり, 海成堆積物に2.5 wt%以上添加することで黄鉄鉱の酸化が抑制できることが分かった。本手法は, 黄鉄鉱の酸化分解に伴う土壌の酸性化を未然に防止するばかりでなく, 土壌中のヒ素やカドミウムの残渣態から可溶性態への形態変化を同時に防ぐことができたため, 海成堆積物からのヒ素やカドミウムの溶出リスクを大幅に低減することができた。
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© 2017 公益社団法人 日本水環境学会
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