2017 年 40 巻 6 号 p. 255-260
汽水湖の水質汚濁を想定して, 都市下水をヤマトシジミに曝露して, 鰓と軟体部の総抗酸化力の応答をORAC法で評価した。事前にヤマトシジミの総抗酸化力の評価に適した個体サイズを調べたところ, 採取した個体の67.3%を占める殻長19 mmから25 mmの個体では, 溶解性タンパク量のばらつきが相対的に小さいことがわかった。ヤマトシジミの鰓のORACは, 軟体部よりも約4倍大きく, 都市下水に曝露した場合には, 鰓の方が軟体部よりも抗酸化応答の継続性が高いことが明らかとなった。つまり, 都市下水に対しては軟体部よりも鰓の方が総抗酸化力の応答を捉えやすいことが示された。