水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
嫌気性消化の酸生成相における余剰活性汚泥の分解特性
李 玉友野池 達也
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1987 年 10 巻 12 号 p. 729-740,727

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抄録
35±1℃の温度で回分実験および連続実験を通じて, 余剰活性汚泥の嫌気性消化における物質分解の挙動に関する検討を行った。回分実験においては揮発性脂肪酸の生成およびガス生成に及ぼす有機物負荷と消化日数の影響を調べた。連続実験においては, SRTを0.5日, 1.5日, 3.0日および5.0日と設定して, 採取時期によって大別した4種類の余剰活性汚泥を用いて実験を行い, 物質分解過程に及ぼすSRTおよび汚泥の生化学性状の影響, COD物質収支および加水分解動力学について考察した。その結果, 以下のことが明らかとなった。(1)130日の回分消化を通じて, CODの約60%が分解される。(2)加水分解速度はプロセス全体の反応速度を支配する, (3)加水分解反応は一次反応式で表され, 加水分解速度定数はvss指標に関して0.44~0.89day-1, COD指標に関して0.32~0.65day-1である。(4)余剰活性汚泥の各構成成分中分解可能な部分の含有割合は脂質>タンパク質>炭水化物の順である。
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© 社団法人日本水環境学会
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