家庭排水を対象とした前報に引き続き, 中小規模工場排水のような比較的高濃度, かつ昼間のみ排出される排水を対象として, 嫌気/好気の回分式活性汚泥法による有機物, 窒素, リンの同時除去のための運動方法, その除去機構, ならびに窒素・脱リンに係わる微生物の挙動に基礎的な検討を加えた。その結果 : 1)高濃度排水を対象としても, 1日1サイクルのうちの流入工程8時間に嫌気処理を取り入れることにより, 窒素, リン, 有機物の同時除去が可能であり, 汚泥の沈降性がよく, 安定した運転が継続できた。2)脱窒は, 主として排水の流入工程で起こったが, 反応槽内に残存した水量が多いため, より高い脱窒率が得られた。3)流入工程においてNO
x-Nがリンの放出を抑制し, 脱窒完了後急激な放出が起こり, また好気状態においては過剰摂取が認められた。4)嫌気工程は脱リン能力をもつ微生物自身の活性を発揮するのみならず, それを活性汚泥中に優占化させる上で不可欠な環境条件であると推定された。
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