抄録
3種の石炭系粒状活性炭を用い, 共吸着剤存在下におけるHg (II) イオンの除去条件について検討を加えた。共吸着剤としてはKBr, KI, システイン, ピコリン酸, 8-ヒドロキシキノリンを用いた。いずれの場合もHg (II) と共吸着剤が錯体を生成する条件でHg (II) は良く除去されたが, 過剰の共吸着剤の添加はかえって除去性を低下させた。また, KBrあるいはKIを用いた場合には微酸性領域で, 他の共吸着剤を用いた場合には中性領域でHg (II) は最も良く除去された。KIは活性炭によるHg (II) の除去のための共吸着剤として優れており, キレート化剤であるEDTAあるいはペプトンが存在する条件においてもHg (II) を充分に除去できることが明らかとなった。