抄録
昭和40年代から現在にかけてクローズアップされた合成洗剤に関連した環境問題と, それに対して洗剤業界がとってきた対策及びその成果について環境測定データを基に考察した。その結果, 以下の点が明らかになった。
合成洗剤のソフト化 (易生分解性界面活性剤への切替え) によって下水処理場における処理性は改善され, 生分解性の向上と下水処理施設の普及により, 河川の水質汚濁への洗剤の寄与度合が低下していることが示唆された。
それに対し, 衣料用合成洗剤無リン化の水質汚濁改善への効果は明確なかたちで見出すことはできなかった。
水質汚濁関題の現状を考えるとき, 真に有効な汚濁対策実現をはかるため, 高い視野に立った総合的な施策の策定とその実施が望まれる。