抄録
活性汚泥の糸状性バルキングに対する嫌気条件の影響を調べるため, 完全混合型および回分式の活性汚泥培養装置を用いて, 基質の流入とエアレーションを交互に行う運転方法により, グルコースと硫酸アンモニウムを主とする合成下水を処理する実験を行った。その結果, 完全混合型装置による実験から, 嫌気条件はSphaerotilus natans の増殖に対する抑制因子になっていないこと, また飢餓時間比が6以上で抑制されるとの従来の知見があてはまることが認められた。また回分式による実験から, COD-SS負荷が0.2gCOD・g-1SS・d-1以下の場合にはS. natans の増殖が認められ, 0.2以上の場合には Type 1863または浮遊性細菌の増殖が認められた。これらの2種の増殖には, 嫌気条件下の基質流入によって有機酸等の嫌気性代謝産物の生成蓄積が影響しているものと考えられた。またこれらの2種にはpHの影響は認められなかった。