水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
芳香族炭化水素の塩素化反応による低沸点有機塩素化合物の生成
佐谷戸 安好中室 克彦林 美恵子入口 政信佐野 仁
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1987 年 10 巻 9 号 p. 547-554,545

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抄録
浄水処理過程で生成するトリハロメタンについての研究は数多くなされており, 生成前駆物質の構造及び性状も解明されている。しかしながら, トリハロメタン以外の低沸点有機塩素化合物の生成前駆物質については, ほとんど知られていない。そのため本研究ではフミン酸の構成因子である芳香族炭化水素の6種類をモデル物質として選び, それらの生成能について検討した。その結果, これらの6化合物はCCl4, CHClCCl2, CCl2CCl2, CHCl3の生成前駆物質であることを示し, 生成能の検討において, pHが酸性側でそれらの生成能が増大する特徴が認められた。また, モデル物質の水溶液をオゾン処理した場合と, オゾン未処理の場合を比較すると, 各低沸点有機塩素化合物の生成能は, 増加するものと, 減少するものがあり, これら生成前駆物質の分子構造に依存することが考えられた。
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© 社団法人日本水環境学会
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