抄録
浄水場における水質異常検知を目的とし, 淡水魚の画像監視方法を実験的に検討した。飼育水槽の後方から光散乱板を介して照明する透過散乱照明法を考案して, 淡水魚の安定した認識を可能にした。さらに, 輝度頻度分布に着目して魚体画像を抽出することにより, 水の濁りにかかわらず淡水魚を画像認識できることを見い出した。水槽内における淡水魚の位置分布と速度の頻度分布とを用いて, 淡水魚の行動パターンを画像監視する方式を提案した。コイ (Cyprinus carpio), フナ (Carassius carassius buergeri) およびタナゴ (Rhodeus osellatus osellatus) の行動パターンは有害物質の有無 (シアン=0.1mg・l-1) によって異なることを見い出した。以上の結果から, 淡水魚の行動を画像監視して水質異常を検知できる見通しを得た。