1988 年 11 巻 5 号 p. 299-306,297
排水中のフッ化物イオンを高度に除去するには吸着処理が有効であるが, より経済的に吸着処理を実施するためには, 化学工学的な研究が必要であり, ここでは活性アルミナへのフッ化物イオンの吸着について, 吸着平衡, 吸着速度, 再生方式について検討した。得られた主な結論は次の通りである。
1.活性アルミナへのフッ化物イオンの吸着は, 表面吸着および固相内への吸収によって行われ, 固相内への吸収は緩慢でかつ脱着が困難であり, 実操作に利用できるのは, 表面吸着の部分である。
2.表面吸着の過程は, 細孔拡散律速で, 物質移動係数は分子拡散係数および細孔構造の値から推算できる。
3.吸着剤の再生には硫酸アルミニウム溶液を用いるのが有利であり, 再生液の濃度, 液量, 空間速度等の再生条件が反復吸着容量に及ぼす影響が明らかにされた。