水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
多摩川 (調布堰) 河川水中の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩 (LAS) の挙動
高田 秀重石渡 良志
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1988 年 11 巻 9 号 p. 569-576,559

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抄録
多摩川 (調布堰) において河川水中のLASの測定を1984年6月から1985年8月の間2週間に1回の頻度で行い, 以下の知見を得た。1) 平水時のLAS濃度は, 17~484μg・l-1, 年平均222±131μg・l-1であった。LAS濃度は冬季に高く夏季に低かった。また, LAS組成も季節変化を示し, 夏季には冬季に比べて長鎖同族体と外置換異性体の割合が低かった。これらの季節変化は, 夏季にLASの微生物分解が活発なためと推察された。2) 河川水中のLASの0.8%~27.7%が懸濁態であった。懸濁態LASの組成は堆積物中のものに類似していた。また, 懸濁物1g当りの濃度は堆積物中のものよりも高かった。このことから, 懸濁物が堆積物へのLASの移行の担い手となっていると考えられた。3) 増水時のLASの通過量は平水時に比べて多い傾向にあった。これは, 河床に堆積していたLASの再懸濁, 懸濁物・堆積物からのLASの溶出等によるものと考えられた。
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© 社団法人日本水環境学会
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