水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
底質試料中の水銀定量における試料分解方法の簡便化
小倉 光夫
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1989 年 12 巻 3 号 p. 169-176,167

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抄録
底質中の水銀を簡便かつ迅速に定量するため三種の分解方法 (底質調査方法と2種の開放系での方法;環境庁告示法および衛生試験法に準拠) の検討を行った。その結果, 風乾試料10gを三角フラスコ中で100℃2時間HNO3/H2SO4/KnO4/K2S2O8で分解し, 還元気化原子吸光法で定量する方法が優れていることが判明した。河川底質に添加したHg2+, 塩化メチル水銀, 塩化エチル水銀, 酢酸フェニル水銀の回収率は100~104%であった。Pond Sediment (NIES標準試料) および13の底質試料での分析植は参考値または底質調査方法 (還流冷却器付フラスコ中でHNO3/KMnO4分解法) の結果とよく一致した。標準試料および微粉砕した底質試料での繰返し分析の変動係数は1.0%であった。
ケルダールフラスコ中で100℃2時間HNO3/NaCl分解方法では, 底質に添加した塩化メチル水銀の回収率は80%であったが, その他の化合物では100%であった。この分解方法では分解溶液中に残存した揮発性有機物の妨害が見られた。
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© 社団法人日本水環境学会
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