水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
電子衝撃および化学イオン化法による塩素化芳香族化合物のGC/MS検出感度の比較
益永 茂樹漆川 芳国米沢 義堯
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1989 年 12 巻 8 号 p. 516-519,495

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抄録

低濃度有機化合物の定量法としてガスクロマトグラフ質量分析計による選択イオン検出法が注目されている。イオン化法には, 電子衝撃イオン化法 (EI), 正イオン検出化学イオン化法 (PCI) および負イオン検出化学イオン化法 (NCI) があり, 高感度のものを選択する必要がある。本報では, 特に環境水や底泥の汚染化合物として注目される塩素化芳香族化合物 (クロロベンゼン, クロロアニソール, クロロニトロベンゼン, および, クロロフェノール類) 計55種について, 各イオン化法による感度を比較した。その結果, 一般にPCIはEIより感度は劣ること, NCIはクロロニトロベンゼン類については高感度であること, また、塩素数が多い (4以上) 場合には, クロロベンゼン類やクロロフェノール類でもNCIがEIより高感度となることが分かった。分析対象化合物が決まっている場合, イオン化法とモニターすべき質量数の選択に本報が参考となろう。

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© 社団法人日本水環境学会
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