1989 年 12 巻 8 号 p. 520-523,496
下水処理水等の処理性を評価する際に, 水を溶離液としてセファデックスG-15を用いたゲルクロマトグラフィーがよく利用される。しかし水を溶離液とした場合にはゲルに吸着される有機成分が存在するため, さらにアンモニア水溶液で溶離を行いアンモニア画群として評価する方法がしばしばとられるている。
本来セファデックスG-15ゲルは, ゲル骨核中に存在するカルボキシル基等によりマイナスチャージを帯びているといわれている。ここで著者らの前報によると, 水を溶離液として水中有機物のゲルクロマトグラフィーを行うと, 無機陰イオンの溶出ピークの直後に有機物の溶出ピークが見られた。ところが今回アンモニア水溶液で洗浄したゲルを用いて同様の実験を行うと, 有機物の溶出ピークは無機陰イオンの溶出ピークの直前に認められた。これはアンモニア水洗浄によりセファデックスG-15がプラスチャージのゲルに変化したためと考えられた。