抄録
本研究では,石炭ガス化実廃水の粒状活性炭流動床型嫌気性反応器による処理について既報で提示した数理モデルを用いて,良好な処理成績を得るための設計因子や操作法,さらにはプロセスの安定性について検討を試みた。すなわち,比GAC取り替え速度,GAC媒体量,水理学的滞留時間,COD負荷および廃水の希釈度といった操作因子と処理効果を示す関係式を提示し,良好な処理を得るための各操作因子の範囲の検討を行った。関与細菌群の増殖の限界および最適条件について比GAC取り替え速度との関連で検討し,そのとるべき範囲について提示した。また,廃水強度の変化に対する応答について,xA-xH関係図やxA-xH相平面での軌跡図により検討を行い,プロセスの安定性についての検討を行った。以上により,粒状活性炭流動床型嫌気性反応器により石炭ガス化実廃水を処理する際の設計・操作法についての有用な知見を提示した。