水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
懸濁液型水ガラス系注入剤を含有するトンネル工事排水の石灰処理法について
丸山 俊朗宮根 正樹山田 僚一隆島 史夫
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1990 年 13 巻 3 号 p. 163-172,161

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抄録

水ガラスとセメントを用いる薬液注入工事排水の, 各種水質基準を達成し, かつ魚毒性のない処理法の一つとして, 「石灰処理-過剰Ca2+の炭酸塩化-CaCO3のバンドによる凝集処理法」について検討した。得られた知見は次の通りであった。 (1) 数百mg・l-1のS.SiO2を30mg・l-1まで石灰スラリーで処理する場合の反応所要時間は, 石灰添加量がS.SiO2に対してほぼ等モルでは, 約60分であり, 石灰添加量が多いほど反応所要時間は短縮された。 (2) 検水のS.SiO2濃度に関係なく, pH≧11.9 (約25℃) に調整するのみで30mg・l-1以下まで, 濁度は同時に数濁度単位まで除去できた。 (3) Ca2+はCO2の直接供給によりpH9.5~10.5で最もCaCO3を析出し, CaCO3のバンドによる上限の凝集至適pHは約8.5であった。 (5) 処理水の水質はpH, S.SiO2, SS (濁度), Ca2+ならびにECのうち, ECのみが関連水質基準を達成できなかった。 (6) (5) で得られた処理水はニジマス稚魚の鰓にも障害を与えなかった。

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© 社団法人日本水環境学会
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