水ガラスとセメントを用いる薬液注入工事排水の, 各種水質基準を達成し, かつ魚毒性のない処理法の一つとして, 「石灰処理-過剰Ca
2+の炭酸塩化-CaCO
3のバンドによる凝集処理法」について検討した。得られた知見は次の通りであった。 (1) 数百mg・
l-1のS.SiO
2を30mg・
l-1まで石灰スラリーで処理する場合の反応所要時間は, 石灰添加量がS.SiO
2に対してほぼ等モルでは, 約60分であり, 石灰添加量が多いほど反応所要時間は短縮された。 (2) 検水のS.SiO
2濃度に関係なく, pH≧11.9 (約25℃) に調整するのみで30mg・
l-1以下まで, 濁度は同時に数濁度単位まで除去できた。 (3) Ca
2+はCO
2の直接供給によりpH9.5~10.5で最もCaCO
3を析出し, CaCO
3のバンドによる上限の凝集至適pHは約8.5であった。 (5) 処理水の水質はpH, S.SiO
2, SS (濁度), Ca
2+ならびにECのうち, ECのみが関連水質基準を達成できなかった。 (6) (5) で得られた処理水はニジマス稚魚の鰓にも障害を与えなかった。
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