水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
廃棄アルコール飲料の微量成分添加高温嫌気性処理
笠倉 忠夫川瀬 三雄木田 建次
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1991 年 14 巻 1 号 p. 54-60,30

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抄録
従来,固定床式嫌気性処理分野では高温処理はほとんど取り上げられてこなかったが,筆者らは高濃度溶解性基質を含む廃水の処理にこの技術を適用し,高い処理性能の得られることを実証してきた。今回,アルコール飲料を原水(107kgCOD・m-3)とする廃水処理に,微量成分(Fe,Ni,Co)を添加し多孔性セラミックスを担体とする固定床式嫌気性処理装置による高温処理を適用することによって,今までにない高い性能(rs=60kgCOD・m-3・d-1でα>0.97)が得られることを実験的に見出した。
これらの処理において,生物量の変化を考慮しない場合の総括反応速度の基質依存性はいずれも従来のMonodタイプではなく,シグモイド性をもMoserタイプであり,とくに今回の実験結果は強いシグモイド性を示した。処理条件と処理結果の相関など解明しなければならない課題は残ったが,反応機作を含め嫌気性処理研究に示唆を与える結果が得られたものと考えている。
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© 社団法人日本水環境学会
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