水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
湿地による生活排水の浄化
細見 正明須藤 隆一
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 14 巻 10 号 p. 674-681,654

詳細
抄録
アシなどの抽水植物が繁茂する湿地による水質浄化法の処理性能を明らかにするため, 水生植物の生育期間だけでなく, 水生生物が枯死して生物活性が低下する冬期も含めて, 湿地に実際の生活雑排水が流入している地域を調査対象として, 1986年3月から1990年2月までの4年間にわたって湿地の水質浄化能力を調査した。湿地への流入負荷量と湿地からの流出量から得られる調査期間の平均除去率は, BOD95%, COD80%, TOC85%, T-N67%, T-P77%であった。冬期 (1月~3月) における浄化能は, BOD2.2g・m-2・d-1, COD0.81g・m-2・d-1, TOC1.1g・m-2・d-1, T-N0.10g・m-2・d-1, T-P0.023g・m-2・d-1とT-Nを除けば年平均値と大きな差が認められなかった。湿地における冬期の窒素浄化能が低下する理由としては, 流入水中のNH4-N, 流入水中の有機態窒素が湿地で無機化されたNH4-Nおよび底質から溶出したNH4-Nが硝化されずに, そのまま流出したためと推定された。
著者関連情報
© 社団法人日本水環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top