抄録
嫌気・好気濾床法の処理性能に及ぼす負荷変動および外来性SSの蓄積の影響を,人工排水を用いた室内実験および小集落から排出される生活雑排水を用いた屋外実験より検討した。また,嫌気・好気濾床内の汚泥活性をみるため回分実験を行った。その結果以下に示す結論が得られた。1)流量変動(ピーク係数2)の影響は,嫌気濾床の平均HRTが20h,好気濾床の平均HRTが6.7hの条件では,室内,屋外実験とも,嫌気,好気濾床の流出水質にはっきり現われなかった。2)屋外実験では生活雑排水中に含まれるSSが嫌気濾床に蓄積し,その結果,蓄積SSからの有機物の溶出,および,閉塞,短絡流を招き,DOC除去率は室内実験(90%)に比べ明らかに低い値(20-30%)を示した。また,蓄積したSSからは窒素の溶出もみられ,濾床内に蓄積した外来性SSは分解にともない有機物や窒素を供給する負荷源となっていた。3)生活雑排水は人工排水に比べ有機物の微生物分解性が低く,また,硝化も進行しにくかった。