水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
支川の合流を伴う河川流下過程における水質変化量の定量評価
海老瀬 潜一井上 隆信
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 14 巻 4 号 p. 243-252,231

詳細
抄録

5支川が合流する本川上・中流部間の流下過程の水質変化量を,7地点での毎週1回定時で1年間の流出負荷量観測により,汚濁負荷量の流達率と有機汚濁物質の総括的な自浄係数で評価した。1年間全体,高水時と低水時等の場合の解析結果より,流達率はほとんどの水質項目で低水時より高水時の方が大きいが,NH4-N,Org-N,PO4-Pはその逆であった。この3つは主に点源負荷から排出され,年間流出負荷量の内で晴天時流出分のウエイトが大きい水質項目である。流達率は流量が大きくなると上昇する傾向があり,大流量時の流達率はほぼ1であった。Streeter-Phelpsの1次反応式を仮定した総括的な自浄係数kを上記3つの場合で算定した。多くの水質項目のkは高水時より低水時に大きいが,TOC,DOC,T-N,DTNはその逆で,P-CODのみ0に近い負値となった。流達率や自浄係数は調査回数や調査時の流量状態等で異なることを考慮して応用する必要がある。

著者関連情報
© 社団法人日本水環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top