水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
嫌気性土壌細菌によるテトラクロロエチレンの生分解に関する研究
矢口 久美子渡辺 学平田 一郎伊藤 武濱田 昭
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1991 年 14 巻 7 号 p. 479-486,450

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抄録
地下水中から検出されるcis-1, 2-ジクロロエチレン (cis-1, 2-DCE) の由来を明らかにするために, テトラクロロエチレン (PCE) の生分解について検討し, 次の知見を得た。
PCEに高濃度汚染された土壌にPCEの生分解が認められ, この土壌からPCEを分解する細菌 (T株と略) を分離した。
T株は周毛性のグラム陰性桿菌で, 嫌気性であり, 寒天平板培地上に集落形成をしない。T株の発育およびPCE分解性が認められたpH域はpH6.0~9.5で至適pHは7.2であった。また15~35℃の範囲でT株の発育およびPCE分解が認められた。
T株によるPCEの分解経路は脱塩素反応であると推定され, PCEからTCEを経て最終的にはcis-1, 2-DCEに分解された。T株は30mg・l-1のPCEを約60時間で90%以上分解する能力を持つことがわかった。
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© 社団法人日本水環境学会
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