水質汚濁研究
Print ISSN : 0387-2025
富栄養化水域における植物プランクトン・動物プランクトンの自浄作用に及ぼす効果
藤井 滋穂宗宮 功白木 敏之
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1991 年 14 巻 7 号 p. 469-478,450

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抄録
富栄養化水域水中での植物プランクトンおよび動物プランクトンに関わる自浄過程の定量的な解析が, マイクロコズム実験に基づき実施され, 下記の成果が得られた。
(1) 有機物分解過程の最初の反応は植物プランクトンの内生呼吸で, 続いてバクテリアによる分解反応が徐々に進む。動物プランクトンはバクテリアの活性を高める。
(2) 浮遊性物質の分解は, 1次反応で表現でき, その速度定数は0.02~0.07d-1の範囲にある。これにともない, 栄養塩類は水中に放出される。
(3) 水中の酸素消費はバクテリア, 植物プランクトン, 動物プランクトンの呼吸速度の和で表わせる。植物プランクトンの呼吸速度Rp (mgO2l-1・hr-1) は光合成速度Pr (mgO2l-1・hr-1) により, Rp=k * Prの式で推定できる。
(4) 水温は各々の過程の反応速度に影響し, その温度効果係数は, CODで1.047~1.103d-1, Nで1.078, 1.142d-1, Pで1.088, 1.263d-1であった。
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© 社団法人日本水環境学会
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